あまちゃん(再)第91回★ダサいぐらいなんだよ、我慢しろよ!
- 2015.07.20 Monday
- 09:18
- NHKドラマ・番組
ヤンキー・ユイ(橋本愛)に呼び出されて夜中の海女カフェにやってきたアキ(能年玲奈)。
紫地のゼブラ模様の服を着たユイ(橋本愛)ちゃんは薄暗いステージに腰掛けてマニキュアを塗り無言。
4ヶ月前まで親友だったのに、知らない人に声を掛けるような感じのアキが「あの・・・」
ユイはギロリと見返すだけで無言維持。
<爪が乾くまで待てってことか?>
アキちゃんの脳裏に二人で「潮騒のメモリー」を唄った海女〜ソニックが脳裏に蘇ります。
ようやくユイが口を開き、ぶっきらぼうに「懐かしい?」
アキ「楽しかったよね。」
ユイ「全然。楽しくなかった私は、全然。あんなの消したい過去。」
アキュビューのイベントの時の橋本愛ちゃんみたいな返事。
言葉を失い、ユイと少し離れた位置に座るアキ。
ステージのバックに飾られた看板には、「ミス北鉄・ユイちゃん」と「海女のアキちゃん」が肩を寄せるようにして同じ方向を見ている”可愛いイラスト”が描かれてる。
生身のユイとアキは、看板とは対照的に目をそらして違う方向に目線を向けています。
アキ「お父さん退院したんでしょ。」
生気の無いユイは「ああ、そうみたいだね。」
アキ「東京おいでよ、みんな待ってるよ。」
ユイ「”みんな”って誰?」
海女カフェの外からの薄明かりが逆光になって顔に陰が差していて、今のユイちゃんの心の中を表してるようなムード。
水口や太巻やメンバーが待ってることをアキが告げ、「宮城の子も居るし」と携帯の写真を差し出します。
ユイはアキの携帯を強く払いのけ「もういいわ!!」
アキ、きょとん。
ユイ「もういい、やめた。行かない。やりたくない。もうアイドルとかどうでもいい。関わりたくない。」
一瞬アキに目を向けましたが、すぐに視線を逸らします。
声を失うアキですが、短く思案してから「大丈夫だよ。みんな正確良い子だし。ユイちゃんのことセンターに相応しいと言ってるよ。」と、ことさらポジティブに話しかけます。
ユイがようやくアキに顔を正対させ「諦めた訳じゃなくて・・・冷めたの完全に。だってダサいじゃん。」
セリフ前半はゆったり、後半は早口で、ここだけを取っても抑揚の効いた演技です。
アキ「ダサい?」
間髪置かずにユイは「ダサいよ、あんなの。オタク相手に生足出して媚び売って、真ん中に立って、それが何なの。」
アキちゃん淋しそうな表情。
ユイ「『暦の上ではディセンバー』、だから何。『絶滅危惧種 下町アイドル』 知らねえよ。」
彼女は”知らねえよ”と言ってるけど、シッカリ歌詞を知ってるんだからアメ女やGMTの動向を気にしてるってことですよね。
ユイは海女カフェで売られているアメ女のCDを手にとって「ダサいアメ女のダサい妹分がGMTってわけでしょ。ウケる!」
橋本愛ちゃんはやっぱり良い演技するなぁ。
涙がにじんでいるのか目に光を反射させてじっとユイを見つめる能年ちゃんも力強い演技してる。
ユイ「今となっては、あんなものに夢中になっていた自分が恥ずかしいって言うか、もう汚点だよね。昔の自分知ってる人に合うのが、もう本当にイヤ。ミス北鉄とかホント無理。勘弁して欲しい!」
橋本愛ちゃんの声の強弱の付け方に痺れる!!
そのまま立ち去ろうとするユイに「そりゃねえべ! あんまりだ! ずっと待ってたんだぞユイちゃんのこと。必ず行ぐって、すぐ行ぐって言うから待ってたんだぞ。」「その言葉だけ、ずっと信じてたんだぞ。それなのに何だよ! 冷めたって。やめたって。おら何のために東京で、奈落で、風呂もねえ合宿で・・・。」と必死に語るアキ。
ユイは薄笑いを浮かべて「知らないし。」
アキ「ダサい、そんなの知ってるよ! やる前からダサいと思ってた。ユイちゃんがアイドルになるって言い出したときから」
知り合って間もない頃に「東京に行ってアイドルになるの。」と語っていたボブカットの清楚ユイちゃんのシーンが回想されます。
日曜日に放映されていた北三陸編の総集編を見た時にも思ったけど、思ってる以上に”ヤンキー・ユイ”が目に焼き付いてしまって、可愛らしかった”清楚ユイ”は遠い昔のことのような気がしちゃいます。
橋本愛ちゃん自体のイメージさえ変わってしまいそうなほどヤンキー・ユイが小生の脳内で定着しちゃった。
アキがあの時のことを振り返って「ダサいから聞こえないふりしたんだぞ。」
そうだったんかぁ・・・。
ユイ「私のせいだって言うの?」
アキ「ちがう。」
ユイは立ち上がって「じゃ何ぃ! アキちゃんは何でやってたの!」と声を張り上げます。
アキ「楽しいからに決まってるベ! ダサいけど楽しいから ユイちゃんと一緒だと楽しいがらやってたんだべ。ダサいぐらいなんだよ、我慢しろよ!!」
このセリフ、なんか凄い。
能年ちゃんも凄いし、クドカンも凄い。
東京のみんなが待っていたのは”かわいい方”のユイだったことを語るアキは「いくら おらだって傷ついた。逆だったら いがったのにって。」
ユイが「はっ、逆? そんなこと軽々しく言わないでよぉぉ!!」と叫び、4ヶ月前にアキから手渡された《東京行きの切符》を取り出してビリビリに破いて床に投げ捨てちゃいます。
「母さん蒸発してぇ、病気の父さん置いて行ける訳ないでしょ!」
だけど、今の今まで東京行きの切符を持っていたと言うことは、東京に行きたいという気持ちを持ち続けていたってことですねぇ・・・切ない。
ユイ「退院したからって安心できない。再発の恐れもあるし、母さん居ないし。兄貴一人に任せる訳に行かないでしょ。」
東京で男と楽しげに歩いてるユイ・ママ(八木亜希子)を思い出すアキ。
ユイ「アキちゃんみたいに気楽な身分じゃないの。代わって欲しいのはこっちだよ。」
このセリフは前半穏やかに、後半はやさぐれた口調。
アキ「お母さん帰ってこないよ。」とポツリ。
ユイ「帰ってくるよぉ!! 必ず。」
ユイちゃん、諦めてない。
アキ「おらだって必死に踏ん張って這い上がろうとしてんだ。気楽な身分だなんて言われたぐねえ!」
ユイ目に涙を溜めて「40位の繰り上げ当選のくせに自慢しないでぇ。」
アキ「自慢じゃねえ!!! それがおらの現実だ! ダサいなんてそんなの、自分が一番分がってる。どんだけ不幸かしらねえが、ここで過ごした思い出まで否定されたら、おらやってらんねえ!!!!」
走り去るアキ。
北三陸での日々を否定されたら、かつて東京に居たときの「地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華も無いパッとしない子」でしかなくなるもの・・・。
それにしても若い二人の熱演に目頭が熱くなるわ!
能年ちゃんと橋本愛ちゃん、凄い。
−◆−
スナック梨明日で、ユイちゃんを心配して話し合ってるオジサンたち。
心からユイちゃんを心配してる磯野先生(皆川猿時)が「おらたちにとってユイちゃんって、結局何なんでしょうね?」
大吉「アイドルだベ。」
吉田君「んだ。アイドルに決まってるベ!」
なんか、ユイちゃんを大切に思ってる気持ちが滲んできて目頭が熱くなっちゃう。
ちょうど駅の待合室で悄然としてベンチに座ってるユイちゃん。スナックのおじさんたちに会話が聞こえてるんだろうか?
外から待合室に入ってきた春子(小泉今日子)が「どうしたのユイちゃん。中に入れば。」
ユイちゃんが弱々しい声で「アキちゃんを傷つけちゃった。私、アキちゃん傷つけちゃった。」と呟き、そのまま立ち上がって春子に歩み寄って身体を預け、子供のように泣き始めます。
ユイを抱きしめた春子が背中をトントンしながら「大丈夫。大丈夫。どうした?」
母性や大人の温もりを求めてるのかもしれないなぁ。
まだ子供だもん。
意地になって突っ張ってるけど、本当は素直になりたいんだろうなぁ・・・。
ユイちゃん、不憫。
小泉今日子の包容力と、橋本愛ちゃんが見せる弱々しさが相まって良いシーン。
やっぱりヒロイン・能年ちゃんとサブヒロイン・橋本愛ちゃんがガッツリ絡むと見応えがある・・と思った『あまちゃん』(再)第91話でした。
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