金曜ロードSHOW『おおかみこどもの雨と雪』★★★★

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    金曜ロードSHOW『おおかみこどもの雨と雪』

    細田守監督は『時をかける少女』で好きになり、『サマーウォーズ』は更に良かったのだけど、『おおかみこどもの雨と雪』って題名が少しダサいので劇場では見ずじまいでした。

    で、テレビ鑑賞したら、思っていたより素晴らしかった。
    −◆−

    都会暮らしの頃・・・。
    乳児の雨は夜泣きが激しく、アパートの住人からクレーム。

    泣いても泣いても泣き止まない雨を見てると、我が子(人間です)が乳児だった頃を思い出しました----どうやっても泣き止まないので、抱っこして家の外に連れ出してなんとか泣き止まそうと歌を聴かせたりゆらゆらしたりしてね…。
    それでも泣き止まないので、こっちが泣きそうになったあの頃・・・。
    (さすがに、夜泣きのひどかった我が子でも「遠吠え」はしなかったから まだマシな方ですけどね。)

    映画は”おおかみこども”というあり得ない存在を描いているけど、子育てという部分では普遍性があって、ファンタジーではなく 痛いほどリアルなんですよねぇ・・・。
    −◆−

    一所懸命に本を読んで”おおかみこども”を育てるための勉強をして寝る間もなくてフラフラになる母・花の姿も、核家族化して祖母世代から知識を得られないお母さんが育児書で知識を得て子育てする姿と重なります・・・。

    で、何となく勝手に思いついたんだけど、満島ひかり主演のドラマ『Woman』ともどことなく共通する部分があるのかなって・・・・。

    少なくとも、夫を亡くして幼い娘と息子を育てるという部分は完全一致しています。
    −◆−

    自分の子供が”おおかみこども”であることを隠しながら生活することが難しくなり、子供たちが人間として生きるか、オオカミとして生きるか選択しやすい場所でもある山奥にある築100年のおんぼろ古民家に移住・・・。

    移住してから、物語が走り始めます。

    自然に囲まれて育つ雨と雪。

    雪が降って大はしゃぎの雨と雪が、山を疾走するシーンの描き方なんてのは圧倒的。

    雨が誤って川に落ちて流されたとき、冷やっとさせられる感じも何とも言えない・・・。
    −◆−

    徐々に里の人たちとの親交が深まり、親切にしてもらえるようになった母・花。

    すぐにオオカミになっちゃう子供らの正体がバレないかとヒヤヒヤ・・・。
    狭い世界だから、オオカミ子供だと判明したら村八分、あるいは狩り立てられちゃうんじゃないかって勝手に想像してヒヤヒヤ・・・。

    そんな幼少期が無事に流れてゆき、雨と雪が小学生になって行く成長の経緯・・・。

    小動物からイノシシまで恐れない活発な子で、母・花をひやひやさせるほど元気いっぱいだった雪が、月日を経て少女に変貌・・・。

    子育てしてると、コロコロっとしていた幼少期から、いつの間にか体がシュッとしてきた我が子の成長を実感するときがありますが、雪の変容に そういう”子供の成長度合い”を感じさせられました。
    −◆−

    転校生・藤井草平が、何の気なしに「獣の臭いがする」
    正体がばれないかと心痛め、彼を避けようとする雪。

    雪との距離を縮めようと近づきたがる草平と、距離をとりたい雪がトラブって、こらえきれずにオオカミに変身。
    爪で引っ掻いてしまい草平に怪我を負わせちゃった雪は登校拒否するようになっちゃいます。

    しかし草平の真心が通じて、少しだけ心を開く雪。

    嵐の日に、学校に二人だけになって、雪はついに自分がオオカミであることをカミングアウト。
    草平は正体を知ってるたど誰にも言わなかったし、これからも言わないと誓ってくれる・・・。

    ほのかな恋心ですかねぇ・・・。
    心の動きが細やかに描かれていて素敵です。

    この経過を通じて、12歳の雪は二度とオオカミにはならないと心に決める。
    雪は”女性”として生きる道を選んだ模様・・・。
    −◆−

    一方、ひ弱な感じでナイーブな雨は、引きこもりがちな日々を過ごしていましたが、とあるキッカケから狼となって山に入ることを好むようになり、一匹の狐を「先生」と呼んで、自然について学び始めます。

    幼少期は雪の方がオオカミになりたがって活発だったのに、成長するにつれ雪は「女子」になり、雨は「男子」になっていってる・・・。

    雨は、人間で言うと思春期みたいな雰囲気をまとって母・花の手から離れようとしてる感じ・・・。

    「男子」と母親の距離感みたいなのが上手く描かれてます。

    そして、嵐が来た日。足を怪我をして先が長くない「先生」の代わりに山で生きていくことを決意し山に入る雨。

    雨がまだ子供だと思っている母・花は、彼を庇護すべく彼を追って山に入り、豪雨の中で雨を探し続けるうちに、斜面を滑落し気を失ってしまいます。

    雨が花を救出して山から里に運びました。
    気を失ってる花は、亡くなった夫の夢を見ます。
    夢の中で夫は、雨はもう大人だと花に告げます。

    オオカミの年齢で10歳は大人・・・・。

    目覚めた花は、山へ戻ろうとする狼の姿の雨を呼び止めるますが、雨は走って急峻な崖を登っていき、遠吠え・・・・。

    姉・雪は人間として生きることを選択したけど、あのひ弱だった雨がオオカミとして生きることを選択した。

    そして親離れした雨と、子離れを余儀なくされた母・花・・・・。

    子供の成長は嬉しいんだけど、親の手元から離れていく部分では寂しくもあることが繊細に描かれていました。

    親子に関しての普遍的な出来事が上手く表現されているから心に沁みます。
    −◆−

    雪は中学に入学して寮生活。
    母・花は独りきりになりましたが、遠くから聞こえてくる雨の遠吠えを聞いて満足げ・・・。

    旅だった雨の成長を実感できてるのでしょうね・・・・。
    子供の巣立ちを受け入れた花、偉い!

    小生も子を持つ親の端くれなので、花に感情移入して目頭が熱くなっちゃいました。

    我が子(中学生の娘)も目を腫らしております。
    −◆−

    花の声が ”宮崎あおい”ってのはよく分かったけど、「雪の声は誰かなあ?」って思ってたんです。

    『純と愛』の千香で、『リーガルハイ』の本田ジェーンを演じた”黒木華”だった---なかなか存在感のある実力派ですね。
    −◆−

    以上、『おおかみこどもの雨と雪』
    予想以上のできばえでした。

    苦しくても笑顔を絶やさない花が素敵だったなぁ・・・・。
    雨のナイーブさも分かる気がするし・・・。
    無邪気だった雪が少女になって行った様子も甘酸っぱいし・・・。

    トータルすると、「子育ての苦労と喜び」「成長」「人生の選択」「親離れ・子離れ」「淡い恋」などなど、人が生きていく上で通り過ぎる普遍的な出来事が精巧に描かれていたように思いました。
    −◆−

    この作品は興行収入40億超で、ジブリ『コクリコ坂から』より少し少ないそうなんだけど、もしも『おおかみこどもの雨と雪』にジブリという”ブランド”が付いていたら、軽く50億円を超えそうな気がします・・・・。

    まあ、細田監督の名前も、今後はもっともっとポピュラーになって「ブランド」として確立されることでしょうね・・・。



    ◇◆◇ 「ごちそうさん」不定期感想 ◇◆◇
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