あまちゃん 第134回★大吉さん「第三セクターの意地、見せるベ」

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    連続テレビ小説「あまちゃん」第134回(9月3日)

    ようやくユイ(橋本愛)ちゃんと電話がつながりアキ(能年玲奈)は「もしもしユイちゃん、いまどこ?」

    暗い線路の上を重い足取りで歩きながら「北鉄が、トンネルの中で止まってさっきまでいたの。いま、大吉さんと鈴木のばっぱと一緒。避難所があるんだって。」

    ユイちゃんの声には張りがありません。

    涙目のアキちゃん「そうか、いがったぁ。」とユイちゃんの無事を喜びます。

    ユイちゃん「ごめんね、明日行けなくなっちゃった。」

    ユイちゃんの無事をしって声が明るくなったアキが「いいって。延期になったし。」

    ユイちゃん「ごめん。」
    真っ暗な背景。ユイちゃんの端正な横顔が薄ボンヤリと映るのみ。

    アキ「中止でねくて延期だから。必ずやるからおいでよ。」と力を込めます。

    しかしユイちゃんは「中止だよ。延期じゃなくて中止。」

    真っ暗な中、うっすらとユイちゃんの後ろ姿。

    「もう行けない。怖くて行けない。アキちゃんが来てよ。道がなくなってたの。線路が途中で終わってたの。ごめん、電池切れそう。」とユイちゃんは電話を切りました。

    電池は携帯の電源だけでなく、惨状に打ちのめされているユイちゃんの”心の電源”も限界寸前ってことを象徴したセリフだったかな・・・。

    で、アキちゃんには全然悪気はないんだけど、東京の人間には被災地の本当の有様は分からないから、ユイちゃんとアキちゃんに自ずと温度差。

    アキ(能年玲奈)ちゃんは延期になったコンサートに思いを馳せることが出来るけど、線路や鉄橋が津波や揺れで破壊され、あのとき列車にブレーキがかかっていなければ死んでいたかも知れないような死の淵に立たされたユイ(橋本愛)ちゃんは、先のコトを考えられるような心境ではないですよね。


    電話の後、アキちゃんは帰宅難民として十数キロ歩いて自宅に帰るんだけど、大変だといっても命の心配があるわけじゃなくて、真っ暗な中、地割れや倒壊物・瓦礫を避け、死の気配と余震の恐怖に苛まれながら歩いているユイちゃんとでは大きなギャップがあるんですよ。


    東日本大震災当時、東京のテレビ局は帰宅難民について大騒ぎしてましたけど、あれは『東京目線』の偏った報道でした。

    小生が体験した『阪神淡路大震災』の時はね、電柱が倒れ電線が垂れ下がり、信号も街灯も消え、ところどろこでは漏れているガスの匂いがする道を、道沿いの倒壊した家を目にしながら、舞っている粉塵を吸わないためにマスクをして、両手がふさがらないようにリュックを担いで、毎日片道5時間かけて通勤した人もざらに居ました。

    『阪神淡路大震災』からしばらくして電車が一部復旧しても、迂回路経由で電車に乗って、電車が切れてるところは歩いて、やはり数時間がかりで通勤した人がわんさかといらっしゃった。

    ビル等建物が傾いていて、余震があると倒れてきはしないかとヒヤヒヤしながら歩くんですよ。
    徐々に復旧して少しずつ楽にはなりましたけど、そんなことが1ヶ月、3ヶ月、半年・・・と続くんです。

    平和ボケしていた小生が初めて「いつ死ぬか分からない状況」に接したのが『阪神淡路大震災』でしたから、帰宅難民なんかとは比べものにならない凄惨な状況にいるユイちゃんの気持ちが多少は分かります。

    ありゃりゃ、ついつい繰り言を重ねちゃった・・・。
    要するに、東京が大混乱していても、被災地や福島第一原発の影響を受けた地域の深刻度とは比べものにならないってことです。
    −◆−

    夏ばっば(宮本信子)からのメールには「みんな無事」「御すんぱいねぐ(ご心配なく)」と書かれていました。

    昨日のラストで夏ばっばから着信があっても、本人が打ったのかどうか確信がなくて消息が心配だったんだけど、どうやら無事だった様子。

    夏ばっばが震災で犠牲になるのではという憶測も流れていたし、「虫の知らせ」なんてフレーズが出てきて不吉な予感を漂わせていたものねぇ・・・。

    心配していた春子(小泉今日子)、一安心。
    −◆−

    3月12日。
    甚大な被害を被った北鉄の線路。

    大吉「とにかく列車を走らせるぞ。吉田君、一刻も早く列車を走らせるぞ。」

    吉田君「だって、線路が・・・見たでしょ、途中でねじ切れて。あれじゃ、どうにもなんねぇ。」

    大吉「さいわい、袖ヶ浜までの線路には問題ねぇ。安全確認して再開だ。」「走れるかどうかの問題でねえ。走らなくちゃなんねえのだ。」

    昨日から大吉(杉本哲太)さんが凄くカッコイイ。
    平時に力を発揮する人間と、非常時に力を発揮できる人間が居るけど、大吉さんは後者だったんですね。

    ヒロシもその場に居て「俺もそう思います。車は流されて国道は瓦礫でふさがって、政府は菅直人でふさがって、人が線路の上を歩いているような状態で・・・。」

    (もしかすると”菅直人”に関する部分は、まだに心に残る「怒り」のせいで聞こえた小生の幻聴かもしれない)

    さらにヒロシ「北鉄が走るって言うだけで、勇気づけられる人、いっぱい居ると思います。」

    『阪神淡路大震災』のとき、阪急電車の線路を歩いて”通勤”していた知り合いがいたのを思い出しました。

    猛烈な勢いで阪急・阪神・JRの復旧工事が進んで、短い区間だけでも復旧するたびに嬉しい思いがありましたよ。
    震災で失われた日常が少しだけ戻ってくる嬉しさや、完全復旧する日を信じられる希望みたいなものがありました。

    吉田君「足立、この野郎、良いこと言うじゃないか、足立。」
    気持ちが前に向き始めたからか、少しだけ北三陸らしいセリフ。

    大吉さん「走るベ。たとえ一区間でも、一駅分の往復でも良い。誰も乗らなくてもいい。運行を再開することが使命だ。」

    吉田君「んだね、北鉄は市民の足、地元住民の足ですものね。」
    大吉さん「第三セクターの意地、見せるベ。」

    大吉さんのセリフや顔つきを持てるとウルウル来ます。
    こういう小さなヒーローが何人も居て、復興が進む。

    「せーの」人力で列車を押す大吉さんたち。
    「あ、動いた。」
    前みたいに田口トモロヲさんの声は流れてこないけど、北鉄再開の『プロジェクトX』ですね。

    3月16日、地震からわずか5日後、北三陸ー袖ヶ浜間、運行再開。

    <一日たった3便、通常時速90キロで走るところを20キロのノロノロ運転。なので運賃はタダ。それでも走るしかなかった。走ることが北鉄の意地、大吉さんの意地でした。>


    夏ばっばが足をよろよろさせてホームに駆け込んできて「北鉄走ってんのに、おらが休んでるわけにはいかねえべ。」

    吉田君「んでも、一駅しか走りませんよ。」
    夏ばっば「ちょうどいがったぁ、おらもウニ足んなくうて5つしか作ってねえ、さあ、乗せろ、乗せろ。」

    出来る範囲で出来ることを積み上げていく大吉さんや夏ばっば。
    「出発、進行」

    車窓から外を見ていた大吉さんの目に、列車に向かって手を振ってる地元の人たちの姿。
    大吉さん、手を振り返します。

    BGMで「銀河鉄道999」のメロディ。
    昨日からBGMは極力使わず抑えめだったけど、「銀河鉄道999」の明るく軽快なメロディ。
    『999』じゃないほうの『銀河鉄道の夜』の宮沢賢治は岩手県花巻出身だしね・・・。
    −◆−

    <映画『潮騒のメモリー』は公開後1週間で打ち切りになりました。CDはひっそり売られていましたが宣伝は自粛。>

    4月29日。スリーJプロダクションの事務所で鈴鹿ひろ美が「しょうがないわねぇ、よりによってこのご時世に『寄せては返す波のように』なんて歌詞・・・」と、ため息付いてソファでグータラ。

    春子が怒って「そろそろお仕事して頂いて宜しいですか?」
    大震災で打ちのめされ、自分を見失っているのか目も虚ろな鈴鹿ひろ美。

    鈴鹿ひろ美がワンシーンだけカメオ出演する『おめでた弁護士』のスピンオフ企画の仕事をミズタクが取ってきたんだけど鈴鹿ひろ美は「お断りしてちょうだい。もちろん出たい、有り難いと思う、だけど、東北の方々に申し訳な・・・・」

    春子「東北の人間が働けって言ってるんです! ほら、働いてます。」
    春子が指し示したテレビには、『じぇじぇじぇのぎょぎょぎょ』という子供番組に出演しているアキちゃん。

    もとの『見つけてこわそう』の題名が時節柄 不謹慎なので題名を変えて放送を再開していたのです。

    当時の世相や、人々の心理状態をクッキリ再現した場面でした。
    普通にしてるだけでも被災地の方に申し訳ないような気がしましたものねぇ・・・。
    −◆−

    無頼寿司で太巻が「売名行為って言われるんです、炊き出し行っても。」と大将にこぼしています。

    AKBが被災地慰問を続けてることについて、売名行為だとするネットへの書き込みなんかがずっとありましたものねぇ。

    太巻「炊き出し行っても、行くとこ行くとこで貴乃花親方とバッティングして全然目立たないし。」

    河島「『目立たない』とか言うから売名って言われるんじゃないですか。」

    太巻「メニューも良くなかったんだよね。向こうちゃんこで、こっちベーグルだろ。全然合わない。フフフフ。」

    5月が近づいてきて、若干いつもの調子に戻しはじめたかな・・・。
    −◆−

    <娯楽に関わる多くの人が自分自身に問いかけました。ドラマや映画や歌がなくても人は充分生きていける。でも、水や食べ物、電気や燃料がないと人は生きられない。世の中がすっかりかわってしまった。3月10日まで日々どんな気分で暮らしていたか、アキも思い出せず、自分がどうしたいのか分からないでいました。>

    アキちゃん、棚がスカスカのコンビニでカップ麺などをお買い物。
    お釣りの小銭を募金箱に・・・。

    『ZBA!』という雑誌を買っていますが、拍子はアキちゃん抜きのGMT5。
    映画が打ち切りにならなきゃ、アキちゃんが真ん中に写っていたかもしれないのに・・・。
    −◆−

    無頼寿司の外。

    アキちゃん「ゴールデンウィークの予定は? 田舎さ帰んねえの?」
    種市先輩「やっと本格的に修行始まったところだしな。」

    アキ「安部ちゃんも仕事だって、みんな忙しいね。」

    絶対に必要な「食」の仕事に携わる種市先輩や安部ちゃんに対して、タレントのアキちゃんは引け目みたいなものを感じてるのかなぁ?

    種市先輩「天野は、帰りてえのか?」
    アキちゃん「分がんね。」

    種市先輩「帰りたくねえのか?」
    アキちゃん「分がんね。 帰ったからって、おらになにができるわけでねえし。何も出来ねえのに帰っても迷惑だベ。何しろ・・被災地だもん。」

    タレントは今必要とされてない、役に立たないと思って悩んでる??

    アキちゃん「みんなが無事なら、それで充分だって最初は思ってた。でも、家さ居てテレビのニュースさばかり見てるとたまらねぐなる。なんだか北三陸で過ごした1年ちょっとの、おらの楽しかった思い出が、記憶が薄れていくっていうか・・・塗り替えられて行くって言うか・・。んだから、寝る前に一人ずつ思い出すんだ。みんながどんな顔して笑ってたかって。」

    それこそ、震災エピソードの時に不謹慎な気もするけど、種市先輩に向けたアキ(能年玲奈)ちゃんの表情がメッチャ素敵。

    アキは一人一人の顔を思い浮かべながら「夏ばっぱ、大吉さん、菅原さん、吉田さん、今野さん、勉さん、いっそん! 組合長、じいちゃん、弥生さん、眼鏡会計ばばあ、美寿々さん、花巻さん(フレディの時の花巻さん)、いっそん! 栗原さん、足立先生と奥さん、いっそん!」
    鼻の穴から周りの空気を全部吸い尽くしそうな勢いでカラオケマイクを握ってる磯野先生(皆川猿時)のアップが3回も!!

    種市先輩「フフフフ、いっそんのインパクトすげえな。」

    フレディ花巻いっそんとかの小ギャグで、また少し『あまちゃん』が普通のペースに復旧しはじめてるかな・・・。

    アキ「あれ、誰か忘れてねえか??」
    種市先輩「勉さん言ったか?」
    アキちゃん「言った。」

    足立先生と奥さんまでは出てきたのにヒロシ(小池徹平)のこと忘れてるんだものなぁ・・・。

    アキちゃん「まあいいや、とにかく、一人一人の笑った顔、思い出してから寝るんだ。でも、ユイちゃんだけは、どんな顔して笑ってたか思い出せねぇ。」「会いでえなぁ・・。」

    モヤモヤしてるアキちゃんだけど、そんな気持ちを種市先輩に聞いてもらえてヨカッタ。
    良い彼氏がいて幸せだわ。
    −◆−

    自宅兼事務所に帰ったアキちゃん。

    まだデスクで仕事をしている春子の椅子の肘掛けに座ります。

    春子「何?」
    アキ「え?」

    春子「何か言いたいことあんの?」
    アキ「いや、特にねえです。 おやすみなさい。」

    アキちゃん、ママに甘えたかったのか、はたまた「タレントをやめたい」とでも言いたかったのか・・・。

    その夜、アキが夏ばっばにメール。
    <夏ばっば、今年の夏は潜らないよね。アキ>

    やっぱりタレントをやめて北三陸に戻って海女でも始めようなんて考えてるのか??
    「帰ってこい。一緒に潜ろう」とかの返事が欲しかったか??


    で、夏ばっばから返信<お構いねぐ。>

    夏ばっば、アキちゃんの気持ちを察していて、今のまま東京に居るようにという意味がこもってるかな?

    で、アキちゃんが指を折りながら「夏ばっぱ、大吉さん、組合長・・・・。」(ヒロシ、思い出してもらえるかな?)

    次回へ続く。
    −◆−

    『あまちゃん』らしい小ギャグをほんの少し加えて震災から2ヶ月近く進んだ第134話。

    何か悩んでいるアキちゃん、打ちのめされたユイちゃん、若い二人がどう進んでいくのか・・・。

    やっぱ大震災は、どんなにマイルドに描いてあっても生々しく当時を思い出すので、けっこう堪えます。

    でも、今でもご苦労されておられる被災者の方々のことを思えば、そんなこと言ってられませんね。




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