NHK「七つの会議」第2話★社内政治家・佐野(豊原功補)と強度不足のネジ

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    NHK「七つの会議」第2話
    二度と戻れない〜工場ツアーで真実に迫れ


    痺れる!!
    ストーリー、キャスト、映像など、どれを取っても圧倒的なクオリティ!!
    −◆−

    御前会議で、パソコンチェア「リラクーン」の背もたれが倒れたというクレームが俎上に・・・。

    レジュメに印刷された写真には折れてしまったネジ。

    前回、『ねじ六』の三澤社長(甲本雅裕)が強度試験器にかけて折れてしまったときと同じような状態です。

    稲葉製造部長(中村育二)は使用者が仮眠に使ったことを指摘し、こんな使われ方にまで責任は持てない旨を主張。

    宮野社長(長塚京三)が話しを引き取り「クレームはクレームだ、稲葉部長と北川部長は部署に持ち帰って見直すように。」と指示を出した上で、この問題を取り上げた佐野カスタマー室長(豊原功補)の姿勢を支持して「臆せず、これからもよろしく頼みます。」

    社長の本音か、あるいは親会社「フロンティア」から出向中の村西副社長(北見敏行)を意識した見栄えの良い発言か?

    とにかく、佐野から部長級、さらには社長と副社長も含むパワーゲームや社内政治が滲む会議です。
    −◆−

    企画開発室の奈倉(戸次重幸)に背もたれが倒れたパソコンチェアのネジを持ち込んだ原島営業一課長(東山紀之)

    検査の結果、設計ミスでも製造ミスでも無く、ネジの強度不足だったことが判明し、奈倉はトーメイテック製のネジが使われている全製品のチェックが必要だとの認識を示します。
    −◆−

    居眠りハッカクこと、万年係長・八角(吉田鋼太郎)が、北川営業部長(石橋凌)を呼び出します。

    係長が部長をですから、いびつな関係!?

    八角はタバコを吹かしながら「佐野のカスタマーレポート読んだよ。リラクーン やばいことになってるみたいじゃないか。」

    北川部長「たった一件だけだ。それも想定外の使い方で壊れただけだ」

    八角「そうかな? 表に出てないだけで・・・そろそろ持ちこたえられないんじゃないか。」

    北川「何が言いたい。」

    八角は北川の目をじっと見つめながら「俺は坂戸を食い止めた。働き盛りの男にパワハラの汚名を着せて前線から追い出したんだ。かみさんや子供や家族の居る男をな。お前、これで終わらせつつ盛りじゃないだろうな。」

    やや遠回しに謀略の存在を臭わせる会話。
    吉田鋼太郎石橋凌の取り合わせがシブい上に、夜の社屋外での青みがかった薄暗い映像の陰影が渋味を倍増しています。

    クールで且つ重厚!!!
    −◆−

    原島(東山紀之)が緩やかな協力関係を作って高崎工場でトーメイテック製のネジのサンプルを入手。

    イッチョ噛みしていた佐野(豊原功補)のところに稲葉製造部長(中村育二)がやってきて「余計なコトしなくて良いんだよ。お前が何を探ろうとしてるかしらんが苦情係は苦情の相手だけしてりゃ良いんだ。」

    口が立つ佐野は「椅子が壊れたという苦情と、鋭意向き合っています。」と切り返し。

    ここで佐野の部下が『リラクーン不具合発生状況』という資料を示します。
    過去36ヶ月で不具合が42件発生し、その内”背もたれ”がはすれた7件はここ2年に集中。

    佐野「ここ2年背製造された椅子には明らかな不良がある。」
    そして薄笑いを浮かべて稲葉製造部長に「原因はネジですよ・・・もしかして部長、このことご存じだったんじゃないですか?」

    渋面を一層暗くした稲葉が「お前、自分がどうなるか分かってんのか。」

    佐野が表情を硬くして「お互い様です。このことが上層部の耳に入れば関わった人間はただじゃ済まない。」

    突然、振動してるネジとナットが画面いっぱいに大写し。
    まったく説明もなく、緩んだ様子のネジがただガタガタと振動してる短いカット。


    佐野(豊原功補)と稲葉部長(中村育二)の剣呑な会話に振動するネジが加わって、ザワザワとした気配が漂います。

    まったくもって、見事な演出、見事な編集です。
    −◆−

    企画開発室の奈倉(戸次重幸)が全てのネジを精査した結果を原島(東山紀之)と佐野(豊原功補)に伝えます。

    トーメーテック社製のネジ32種類のサンプル中、リラクーンの5サンプルは全て強度不足。

    奈倉の尋常ない暗い表情に気づいたが「どうした? 椅子ぐらいどうにかなるだろ。」

    奈倉「そうですね、パソコン用チェアなんて大したことじゃないかもしれません。」

    ひどく深刻な表情の奈倉は、22種類のネジが「不良品か一部不良品」だったことを述べたうえで、列車や航空機に用いられている合金で出来た特殊ネジ3種に触れ「世界中の高速鉄道や航空機に搭載された東京建電のシートが全て強度不足になってる可能性があります。これをリコールしたらウチの会社なんかひとたまりもありません。」と絶望的な見込みを口に・・・

    思わず表情を失い視線を合わす原島(東山紀之)と佐野(豊原功補)。

    零細工場『ねじ六』で強度試験をした場面から、世界中の高速鉄道や航空機に繋がる展開は予想しなかった!!

    ヤバすぎる案件だわ!!

    また、突然画面が変わって、小ぶりの熊の縫いぐるみの下からカタカタと音を立てて振動するネジが映ります。

    カメラが引くと、どうやら航空機のシート。
    さっきの縫いぐるみを持った少女を真ん中に挟んで親子三人が座っています。

    強度不足のネジが原因で何かが起きるかもしれないという不安をかき立てるカット。
    ネジ部が振動でカタカタと鳴る音が、余計に不安を煽りドキドキしてきます。

    −◆−

    佐野がネジの強度不足のリコール問題や、6億円あまりのネジを規格外部品だと承知して納品していた坂戸の不祥事を社内告発する動きを見せます。

    そんな中、北川営業部長(石橋凌)が原島を呼び出して「2年前、坂戸はノルマを達成するためにコストダウンを優先し強度不足のネジをそうとわかって受け入れた。鉄道や航空機シートの製造に使用され納品された。」と、隠してきた事実を明かします

    原島は坂戸の行動の背後に北川の意向が働いていたのかをただします。

    北川は「違う。知ってたらもっと早く手を打った。最初に気づいたのは八角だ。半年前から少しずつ裏付けを取り坂戸に確かめた。坂戸は不正を認めた。」

    ここでも八角(吉田鋼太郎)が噛んでいたのかぁ・・・。

    北川は原島に「佐野を説得しろ。これ以上、つまらない脅しはするなと。」と述べ、前任の不祥事を知った以上、事態の収拾を図るのは現一課長の原島の仕事だと言い切ります。

    ことが発覚するまで蚊帳の外に置きながら、今度は原島に役割を押しつけてくるから堪りません。

    原島はこれで自分が”花の一課長”に据えられた意味を悟りました。

    隠蔽を強要しても逆らわず、もし不祥事が表沙汰になったときは、首をすげ替えるのがたやすいタイプだと上が判断したから原島を営業一課長に起用したのだと・・・。
    −◆−

    佐野から連絡を受けて会いに行った原島は「あなたの目的は何ですか? この不祥事をどう利用するつもりなんですか!」と核心を突く質問。

    佐野「第三者委員会の設置と北川と稲葉の更迭。それ以外の譲歩は受け付けない。」

    リコールに関する告発文を部長たちに送りつけるようなことはせず、「然るべき会議の場」で問題を明らかにすべきだとする原島(東山紀之)。

    すると佐野は「ハハハハ、会議。ハハハハ。もっともらしい顔して会議なんかしたって、そこで話す建前に一体何が有る? 本音ってのはなあんなとこじゃ出ないんだよ。」と、職場での形式張った会議を嘲笑して、そのデメリットを指摘。

    国会なんてのはその際たるものだと思うなぁ・・・選挙だけど。

    佐野の言葉が続きます「金がほしい、ポストが欲しい、あいつが邪魔だ。こいつに褒められたい。あんなやつより俺の方がずっとずっと仕事が出来る。俺はな愚痴や噂話や会議室の話しなんかじゃ見せない本物の気持ちを拾って、それをあっちこっち繋いで、そうやってここまで生き延びてきたんだ。」

    《あいつが邪魔だ、あんなやつより俺の方がずっと仕事が出来る》など、職業人の心理を見事に捉えたセリフ!!!

    原島が「フフッ社内政治家・・・」と小バカにするような素振り。

    (ただの”ゴマすり男・茶坊主”よりは”社内政治家”の方がマシだと思うけどねぇ。)

    佐野「そうだ、社内政治家だ。お前らはそう言って俺をバカにするが、俺は俺らしいやり方で組織の本流に戻る。これは俺の誇りの問題だ。」

    原島は「そんなことが誇りですか! 会社の弱みを利用して気に入らない人間を飛ばし、ただ自分だけが生き残ろうとする。」と、佐野の処世術を痛烈に批判。

    間髪置かずに佐野は「じゃあ お前はなんなんだ。北川の言いなりでここまでやって来たただの使いっ走りじゃないのか。いいか、今のお前はあいつらに良いように使われてるただの不良品のネジだ。強度が足りなきゃすぐ折れる。折れりゃ代わりは幾らでも居る。」

    本社を去って行く坂戸が「代わりなんかいくらでもいます。会社って、そういうもんでしょ。」と呟いていたことを思い起こす原島。

    会社の駒として動かされている原島(東山紀之)を、問題のネジに例えたセリフは良くできてるわ!!
    折れたらすぐに代わりが有るものねぇ・・・。

    さらに「俺にはもう一枚切り札がある。」と言う佐野は、物作りに誇りを持っている社長を利用して稲葉と北川の両部長を蹴落とすことを考えてる模様。

    こうして部長級から社長にまで告発文を送りつけた佐野ですが、親会社から来ている副社長・村西(北見敏行)にだけは例外だとしています。

    親会社に不祥事やドロドロの内紛を知れるのは拙いと考えた模様。

    中年の東山紀之が、同じ”ジャニーズ事務所”でも山P玉森裕太、中山優馬らと年季の差を感じさせる抑えのきいたシブい存在感を滲ませたこの場面もヨカッタ。
    −◆−

    社長室に北川営業部長(石橋凌)と稲葉製造部長(中村育二)が呼びつけられました。

    不祥事の件で”お咎め”が有るのかと思いきや、宮野社長(長塚京三)が「この件、隠蔽せよ。」

    おい!
    製造畑出身で誠実なタイプかと思ったのに、思いっきり組織の論理かよーーー!!
    −◆−

    ラストは、八角(吉田鋼太郎)が第三者委員会の加瀬(堀部圭亮)から事情聴取されている場面。

    フフッと笑いを漏らした八角が「私に誰かを告発するなんて、そんな資格があるのか・・・人を殺した、私なんかにね。」

    吉田鋼太郎の目元が大写しに・・・。
    目からは真意を読み取れない曲者だからなぁ・・・。


    原島(東山紀之)や八角(吉田鋼太郎)が加瀬(堀部圭亮)証言してるときの暗い画面も、如何にも不明朗な出来事が起こったのだという雰囲気を醸し出していて、とってもイイ。
    −◆−

    だいたいこんな感じで、1時間みっちり詰まった『7つの会議』第2話。

    原島のことを強度不足のネジに例えて揶揄した佐野のセリフが最も印象に残りましたが、ねじ六・三澤社長(甲本雅裕)がサラッと口にした「職人だったら駆け引きはするな。腕を磨け」という父の言葉も印象的。

    ドロドロの社内政治に明け暮れるホワイトカラーと、腕だけで暮らしを立てる職人の対比が鮮明です。

    個々のセリフを取っても、全体の流れをみても文句のないクオリティです。


    あと、坂戸(眞島秀和)や経理の新田(山崎樹範)が影も形も無くなったかのごとく消えてることでの”空恐ろしさ”も良くできてる。

    彼らが居ないことで、組織における消耗品としての人間が描かれ、ゾワっとしちゃいます・・・。
    −◆−

    さて、同じ池井戸潤原作の『半沢直樹』に視聴率で後れを取っている『七つの会議』について、<生真面目が裏目に出たNHK> <NHKらしく、映像は凝っている。それも今回は裏目に出た> <眉間にしわを寄せて悩んでいる主人公の姿も、シリアスですが面白みがない。>などと分析してみせるメディアの芸能記事を見かけましたけど、なんだか的外れな評論だと感じます。

    『半沢直樹』が生ビールだとしたら、『七つの会議』はブラックコーヒーだと思うんですね。

    喉ごしを楽しんで気持ち良く酔うためのビールと、ビターな味わいと香りで目を覚ますコーヒーは、それぞれに価値があるのであって、比較対照しても無意味です。

    どちらも見所のあるドラマで、『七つの会議』が劣ってるなんてことはありません。
    むしろ傑作の部類に入ります。

    『七つの会議』が劣ってるなら、フジテレビの今期ドラマなんて全部落第ですよ。


    主役比較でも、堺雅人は堺雅人の魅力が弾けてるし、東山紀之は年相応に年輪を重ねつつある落ち着きのある魅力を滲ませてる。

    むしろ比較するなら、『オー、マイ・ダッド!!』の織田裕二と、本作の東山紀之を見比べると良いかもしれないですよ。

    かつてのアイドルで46歳になった東山紀之と、かつてのトレンディ俳優で45歳になった織田裕二。

    年を重ねたのに過去を引きずったような雰囲気でダメ親父を演じる織田裕二と、組織内で翻弄されて苦悩する原島を演じる東山紀之では、どちらがドラマの質を高めているか一目瞭然だと思います。


    とにかく『7つの会議』がNHKの失敗だと分析するメディアや評論家はドラマを見る目がないのか、『7つの会議』を見ていないかのどちらかだと思いました。





    ◇◆◇ NHK「七つの会議」感想 ◇◆◇
    #1 #3 #4

    ◇◆◇ 「半沢直樹」 感想 ◇◆◇
    #1 #2 #3 #4

    ◇◆◇ 満島ひかり『Woman』感想 ◇◆◇
    #5 #4 #3 #2 #1


    ◇◆◇ 「あまちゃん」感想 ◇◆◇
    #109 #108 #106-107 #105 #104 #103
    #102 #100-101 #99 #98 #97 #96 #95






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    • 2020.04.02 Thursday
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      「まず結論を言う。この件、隠蔽せよ・・・」 前営業1課長坂戸@眞島秀和の更迭の謎を探る原島万二@東山紀之は 強度不足のネジが自社製品に使われていたことを知り、驚愕、 一方、原島と行動を共にしていたカスタマーセンター室長佐野@豊原功補は 己の野望のために内
      • まっつーのTV観覧日誌(*´д`*)
      • 2013/07/22 1:23 AM
      『七つの会議』は、2013年7月13日から、毎週土曜日21:00 - 21:58に、NHK総合で放送中。東山紀之主演。全4回予定。 概要 大手電機メーカーの下請け子会社を舞台に「内部告発」をテーマとした社会派ドラマ。突然、花形部署の課長に任命されたことで、会社が抱える深い闇
      • ドラマハンティングP2G
      • 2013/07/21 8:03 PM
      もっともらしい顔して会議なんかしたって、そこで話す建て前に一体何がある。 本音っていうのはな、あんなところじゃ出ないんだよ。 金が欲しい。ポストが欲しい。あいつが邪魔だ。こいつに褒められたい。 ...
      • ドラマ@見取り八段・実0段
      • 2013/07/21 12:54 PM

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