瑛太のNHK「極北ラプソディ」前編★地域医療も恋も崩壊

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    極北ラプソディ 前編
    ドクターモンスター降臨


    『チーム・バチスタ』でお馴染みの海堂尊の原作。
    (バチスタシリーズで海堂作品は読み飽きて、『極北ラプソディ』は未読。)

    で、思ってた以上に真面目なドラマ。

    医師・今中(瑛太)と梢(加藤あい)の恋模様も交えたドラマではあるけど、ある意味『地域医療の崩壊』を描いた『NHKスペシャル』的な味わい。
    −◆−

    財政難にあえぐ極北市民病院に再建請負人・世良(小林薫) が院長として赴任し、入院病棟の閉鎖、緊急患者受け入れの拒否、透析も廃止し、人件費は5割カットという『改革』を断行・・・。

    これぞドクターモンスター!!

    公立病院に効率経営を求める風潮を、世良(小林薫) という登場人物で描き出し、コストと命を天秤にかけるような有様が痛々しく展開されます。

    田所(徳井優)という常連さんの患者が救急搬送されてきて、世良(小林薫)は今中(瑛太)に「君はここ極北市で救急車の費用が1回いくらかかるか知ってるか、4万5千円だ。その支払いをあの男は赤字だらけの市に押しつけ、周りに構ってもらいたいという理由だけで私的に乗り回し、お人よしの医者に慰めてもらおうとしてる。」と苦々しげに語ります。

    この田所って患者は5年分の診療費を滞納していて46万7050円滞納中。

    別の日に診察をもとめて駄々をこねる田所に世良(小林薫)が「あなた今まで5年分の診療費を滞納してますね。まずはそれを精算してくれませんか。診察はそれからだ。」

    今中(瑛太)が初診料だけでもと取りなしますが、田所は400円くらいしか持っていなくて「何だよ何だよ!貧乏人は病院に来るなってかい!」

    無銭飲食・食い逃げ的な患者が財政逼迫要因のひとつとなって、真面目な患者にしわ寄せされるのは良くないのは当然のことながら、「貧乏人は病院に来るなってか」ってフレーズはそれなりに説得力を持っていて、憲法第二十五条で謳うところの「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という精神に反してる可能性もあるし・・・。

    なかなか難儀な命題です。
    −◆−

    この日診察を受けられずに家に向かっていた田所(徳井優)が途中路上で倒れ雪見市の救命救急センターで死亡するという”事件”が起きちゃいます。

    極北市民病院の診察拒否が明るみに出て、世良(小林薫)が記者会見する羽目になります。

    記者は正義の味方意識全開で「市民病院で診察拒否されたというのは事実ですか!!」と世良を追及。

    たまたま今、横山秀夫の『64』を読んでいることや、過去に職場で”プレス”の連中の有様を知る機会があったこともあって、マスコミに反感を感じちゃう。

    だけど、公立病院での「診察拒否」で患者が死亡となれば、世論も黙っていないからマスコミは追及せざるを得ないわなぁ。

    で、開き直り気味の世良(小林薫)は「診療費を滞納したまま診察を続けろと病院内で暴れたので、診察を拒否したところ、いつの間にか姿を消していたんです。」

    記者は「結果的に放置された訳ですよね。その事が患者さんの死につながったのでは。」と食らいついてきます。

    世良「亡くなられたのは残念だと思う。だが医者は万能じゃない。あなた方はすぐ医者に対して”殺した、殺した”と騒ぎ立てるが、あらゆる状況あらゆる場面で全ての患者の命を救うという事は不可能なんです。」

    これはこれで真実を含んでるのだと思います。
    医師を「打ち出の小槌を持った全知全能の神」みたいに思っちゃって、医療にもたれかかる患者への問題提起か・・。

    キッパリと理屈を通した世良(小林薫)でしたが、「貧乏人は病院に来るなってかい!」という田所の声が脳裏をよぎり、自分の『改革』への絶対の確信が少し揺らいでる。


    ドラマ上は、マスコミの追及はここまで・・・。
    地方だからマスコミの勢いはこんなものなのか??

    現実のマスコミは、もっと剣呑だし、へたしたらワイドショーまで食いついて来かねない。
    −◆−

    梢(加藤あい)の祖父で透析患者の並木彰吾(高橋昌也)さんは、極北市民病院の入院病棟の閉鎖に伴い自宅に戻って療養・・・雪見市まで、週3回の透析を受けなきゃならなくなりました。

    単純に気の毒。
    透析だけでも大変なのに、離れた町まで週3回通院する負担まで増えるんだもの・・・。

    公立病院の役割って何なのか・・・。


    で、ドラマ見てるときは並木彰吾を演じてる頬のこけた老人が高橋昌也さんだと気づかなかった。
    すっかりお年を召されて、凄みがあるほどやせ細って、完全に油が削げ落ちた老人になってるんだもの。

    病を抱える80代老人を演じる高橋昌也さん、迫力有りますよ。
    −◆−

    飯島ミヨ(りりィ)の緊迫の手術シーンもあって、医療ドラマらしい緊迫感、ハラハラ感も・・・。

    で、並木彰吾(高橋昌也)の孫で、生き別れ状態の父・世良(小林薫)との父子関係も抱える梢(加藤あい)と今中(瑛太)の恋が順風満帆とは行きません。

    求婚した今中(瑛太)に「ありがとう。」と答えた梢(加藤あい)ですが、複雑な心模様の彼女は「さよなら。」

    思いっきり肩すかし!!

    今中(瑛太)と梢(加藤あい)の愛の行方やいかに・・・・後編へつづく。


    というわけで、瑛太は充実してますわ。

    今年に入ってからだけでも『ラッキーセブンSP』があって、連ドラ『最高の離婚』『まほろ駅前番外地』で真逆のキャラを演じ分け、さらに『極北ラプソディ』

    演技の充実ぶりは言うまでも無いのですが、『最高の離婚』で尾野真千子、真木よう子、芹那にモテて、『極北ラプソディ』では加藤あいにまで・・・。

    どれだけモテるねん!!(羨ましい)

    とりあえず、娯楽性を排した真面目な造りで、地味でシブすぎる感はありますが、医療側目線での『医療問題』について考えさせられました。

    これが現場の現実なんだぞ・・・と訴えてくる感じかな。

    「TPPに参加すると国民皆保険制度が崩壊する」という教条主義的な主張を展開する医師も居られますが、医療現場の今そこにある問題を泥臭く問いかけてくる『極北ラプソディ』の方が説得力があるように思いました。













    ・ふるさと納税〜総務省HP

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