「書店員ミチルの身の上話」第10回(終)★大森南朋の身の上話
- 2013.03.13 Wednesday
- 14:41
- NHKドラマ・番組
サブタイトルは『告白』ですが、「懺悔」って感じも・・・。
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バスターミナルでミチル(戸田恵梨香)と出会った男・香月憲剛(大森南朋)
<初めて会ったその夜。ミチルは若さとは裏腹な暗さと倦怠をまとい。捨て置けない切実さが全身から放たれていました。>
今回は大森南朋が登場してるからナレーションではなく、モノローグですね。
ミチルに声をかけ、急場を凌ぐための1万円を手渡し、泊まる所も紹介するという香月(大森南朋)。
大森南朋のモノローグ<普段からお節介を焼くタイプでは無い私が何故ミチルに声をかけたのか。自分でも不思議でなりません。重い荷物を抱えたものにしか分からなにかをミチルに感じ取ったのかもしれません。>
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喫茶店に入って、一息つく二人。
会話の節々から香月の職業に気づいたミチルが「おじさん、バスの運転手なんですか?」
香月「おじさんか・・・いや、いいんだ充分オジサンだ。」
ちなみに大森南朋をオジサン呼ばわりした戸田恵梨香(24歳)より、大森南朋の奥さんの小野ゆり子は1歳年下であるから、小野ゆり子にとって夫・大森南朋はオジサンであるという三段論法が成立するかも・・・。
そんなアホなことはどうでも良くて、ミチル(戸田恵梨香)は「もし差し支えが無ければ話し相手になってもらえませんか。なんか、誰かと話していたいって言うか・・。どんな話でもいいんです。」
無我夢中で竹井(高良健吾)から逃れてきたミチルは、山林で久太郎、豊増、タテブーが並んで捨て置かれているような現実から気を逸らすために、安心感や優しさが感じられる香月(大森南朋)に話し相手になって欲しくなったのかな・・・。
香月って”オジサン”は、今まで周りに居なかったタイプだから。
香月(大森南朋)のモノローグ<ミチルは心の結び目を解くように喋り続け、その身の上話は明け方まで続きました。><宝くじのお使いから始まって、職場の仲間達、昔の男、不倫相手、幼なじみ、その友人までが出そろう詳細なストーリーでした。しかし、その告白は全てではありませんでした。>
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香月の母・聖子(吉村実子)が経営する民宿に世話になったミチル(戸田恵梨香)は、その食堂で働くようになっていました。
白い三角巾で髪を覆ったミチル(戸田恵梨香)は、すっかり可愛い看板娘になっております。
香月(大森南朋)のモノローグ<やがてミチルは本来の若さを取り戻し、嫁が家を出て以来、沈みがちだった母にも活気が蘇るようでした。>
客足も増え、活気が出てきた食堂。
母・聖子(吉村実子)はミチルを気に入ったようで「おかあさん、おかあさんと懐いてくれて、こっちも若返るようだ。」
聖子さんは娘が出来たような感じかな・・・。
若い客がお料理を写メしてブログにアップ。
ミチルが映り込んでいて、このブログを竹井(高良健吾)が見つけて「ミチルちゃん・・。」
不気味な笑顔を浮かべています。
わちゃ〜〜。
壁に耳ありブログに目あり!!!
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その後、香月(大森南朋)のバス会社に不審な電話がかかってきて、事務の女性に「香月に最近変わったことが無いかとか、奥さん以外に付き合ってる女性は居ないか?」などと探偵みたいにしつこく尋ねた模様。
女性事務員さんは「探偵なら失踪した奥さんのことを探して欲しいですよね。」
ん?
なんか、『失踪した奥さん』って言葉が耳に引っかかるぞ・・・。
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食堂にミチル宛の電話。
その後、ミチルが荷物を持って居なくなっちゃって、母・聖子(吉村実子)さんは香月に「ミチルさん探してきてくれ、頼むよぅ。」と懇願。
香月(大森南朋)のモノローグ<いつかこんな日が来る、という予感はありました。母とむつまじく食堂で働くミチルがミチル本来の姿ではないことに私は気づいていました。>
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ミチル(戸田恵梨香)を求めて町中を探しまくる香月(大森南朋)。
初めて会ったあと入った喫茶店に行くと、悄然とした(戸田恵梨香)が居て、すすり泣きしながら「話してないことがあるの。東京で何があったか、どうして実家に戻れないのか、全部話したら香月さん軽蔑すると思うの。」と、しゃくり上げます。
香月は落ち着いた雰囲気で「全部話してみればいい。約束する。どんな話を聞いても家に戻るなとは言わない。」
ミチル「人が殺されてるの・・。」
泣きじゃくってぐしゃぐしゃになったミチル(戸田恵梨香)は、竹井から逃げてることなどを話し始めました。
香月(大森南朋)のモノローグ<2億円のこと、上林久太郎の死、その後始末をした竹井輝夫、自殺をした高倉恵利香、500万円と共に消えた豊増一樹、そして同僚のタテブー。ミチルは東京で起こったことの全てを私に打ち明けました。>
事件が整然と整理されて分かり易い。
香月は「君は許されないほどの大罪に手を染めたわけじゃ無いよ。いくつか判断を誤ってるけど誰もがやってしまうかもしれない小さな過ちだ。正直に話せば許されることだ。」
法律的にはそうかもしれないけど、久太郎(柄本佑)の遺族は”小さな過ち”だと思ってくれるかどうか・・・。
ミチルの父・継徳(平田満)や妹・千秋(波瑠)らも狭い町で肩身の狭い思いをするよ。
ミチルが豊増と一緒に東京に向かったせいで、周りの人間の人生を狂わせちゃっただろうから、ミチルの”小さな過ち”は、思いっきり罪作りなのでありますよ。
娘をもつ父親の端くれとしては、継徳(平田満)さんが事実を知ったら「どんなに心を痛めるだろうか」と変に感情移入しちゃうわ。
泣き崩れてテーブルに突っ伏すミチル(戸田恵梨香)に、香月は「どこに逃げても同じことだ。逃げても逃げても悪い夢の続きに戻るだけだ。」
たしかに、スティーブン・キングの近作
『1922』みたいなことになるにちがいない。
香月(大森南朋)はミチルの手を握り「俺と一緒に居たらいい。もしその時が来たら、今日俺に話ししたことをそのまま正直に話したらいい。君が大きな罪に問われることは無いから。もう、びくびく暮らすことは無いんだ。それまで、俺が君を守る。絶対に。」
2億円をゲットすることとかが目的ではなく、本能的にミチルを守りたいと思ったのでしょうね。
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<それからミチルと私は結婚し、やがて子供を授かったことが分かりました。「絵に描いたような幸せが自分たちにも訪れたのだ。」と、錯覚し始めた矢先、竹井がやって来ました。>
竹井(高良健吾)が先に居間に座っていて、帰ってきた香月(大森南朋)に座るように促します。
香月「ミチルは留守だ。」
気色悪さを漂わせた竹井は「いいんですよ。話しはあなたにですから。色々調べさせて貰いましたよ。少し時間はかかりましたけどね。」
先日の『まほろ駅前番外地』に出たときの若いヤクザ役で唇ピアスの高良健吾も個性的だったけど、香月(大森南朋)と話しをする高良健吾の雰囲気も尋常ないわ。
竹井はさらっと「香月さんて普通の人なんですね。死体を埋めちゃ駄目ですよ。」「前の奥さんですよ。」
フラッシュバックして、大雨の中、遺体らしき物体に土をかける香月(大森南朋)の映像・・・。
やっぱり『失踪した奥さん』って、ただいなくなったのではなくスティーブン・キングの『1922』と同じ流れだったのね。
竹井は「奥さんの骨をあなたの目の前に突きつけてもいいんですけど。どうします?」
雰囲気が怖いぞ、高良健吾。
またフラッシュバック。
営業を終えたバスの運転席に居る香月(大森南朋)に離婚届を突きつける妻・あけみ(霧島れいか)。
すこしケバイ。
あけみは黙り込んだ香月に「毎日毎日、同じとこ走って、何が起ころうと見て見ぬ振り。運転中に私が他の男と歩いてるところを見たらどう? あなたバスを止められる? きっと止めないわよね。あなたってそういう男よ。つまらない男。」
真面目に業務に勤しむ夫を”つまらない男”呼ばわり。
仕事も人格も全否定ではないか!!!(同じ男として立腹!)
妻・あけみがバスを降りて車両の前に出た瞬間、衝撃的にアクセルを踏んで”あけみ”を轢いちゃいました。
そういう経緯があったのかぁ・・・。
あの妻なら地獄に堕ちても仕方ない・・・殺人はイケません。(「良い子の皆はマネしないでね」ってテロップは流れません。)
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竹井(高良健吾)がジワジワと香月(大森南朋)を追い詰めようとしています。
「ミチルを守ってあげるのはボクだけだって言うことがまだよく分かってないみたいだけど。」
さらに前髪の下から見上げるように「骨を掘り返して警察に知らせるかどうかはそれから考えましょうか。それが嫌なら、あなた一人でやって貰う別の方法もあるけど・・聞きたい?」と言って笑みを浮かべます。
香月は数秒の沈黙のあと「一人で何をやればいい?」
竹井は日常茶飯事を口にするような言い方で「簡単なことです。前の奥さんのように黙っていなくなってくれないかな。」
アブノーマルな表情が不気味!!
重苦しく香月が「自殺しろってコトか?」
竹井は「できればぁ・・2,3日中にそうして貰えないかな。」と笑み。
竹井(高良健吾)の狂気に冒されたような思考形態が怖い!!!
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竹井が居なくなってる部屋でペンを取って手紙を書き始めた香月(大森南朋)。
<ミチル。俺はミチルの考えてくれるような良い人間ではない。ミチルが何もかも話して俺を頼ってくれたのに、俺はそれに応えられるような人間では無いんだ。実は妻は失踪したのではなく俺が殺した。毎日毎日同じ道を走って、何が起ころうと見て見ぬ振りをするつまらない男、と詰られたとき、自分の中で何かがキレた。知らぬ間に殺人者の妻になり、殺人者の子供を宿してしまったミチルには謝る言葉も無い。最後に俺が出来ることは何か、懸命に考えた。今夜、竹井は俺に自殺を迫った。けれど、俺が消えたところでミチルの不安は解消されない。むしろミチルを竹井に差し出すことになる。だから俺は明日弁護士さんの所に行く。境町の信号の右側にある弁護士事務所だ。妻を殺めて以来、あの信号にさしかかる度に看板を見上げては毎日考えていたことだ。弁護士さんに妻殺しの一切を打ち明け、警察に出頭する。それから、ミチルと竹井輝夫を、上林久太郎の死体遺棄の過度で告発する。前にも言ったとおり、ミチルの罪はさして重くない、と俺は信じている。これしかミチルを竹井から守ってやる術が無い。ミチル、元気な子供を産んでくれ。できれば、お父さんに子供を見せてやって欲しい。これが、俺の身の上話の全てだ。>なんか大逆転で、いつのまにか大森南朋が主役に座っちゃったようなムード。
ずっと「嘘」と「隠し事」の連鎖が続いて泥沼状態だったけど、香月(大森南朋)は隠すことをやめて負の拡散に終止符を打ったんやね。
竹井との対決的には『肉を切らせて骨を断つ』的な作戦。
(竹井が居なくなっていたから、香月が埋めたのかと思っちゃった。)
それにしても、香月(大森南朋)は、奥さんを殺したときにすぐに自首すればヨカッタのになぁ。
計画的な犯行じゃないし、量刑に際しては情状を考慮してもらえたのに・・・。
嘘や隠し事をしても、「天網恢々疎にして漏らさず」なのであります。
手紙の最後には<ミチルと出会って、やっと決心が付いた。ミチル、ありがとう。>
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ミチルの実母(鍵本景子)が祈っていた教会かな・・・。
本物の古書店店主・栞子のように髪の長いミチルが、お腹の子を撫でながら「一緒にお父さんを待とうね。」
U-KISSのED曲『ALONE』が流れはじめ「どこでかけ違えたのだろう 今となれば分からない 彷徨うようにStep outもう後戻りはできない〜♪」
ドラマにぴったしの歌詞。
ED曲が流れる画面。札束がごっそり入ってる紙バッグが少なくとも二袋、教会の祭壇前に置いてある。
宝くじの2億円を教会に寄進して、贖罪を願ってる??
以上、『書店員ミチルの身の上話』でした。
原作本は『身の上話』という題名だから、ミチルではなく最後の香月の”身の上話”で収まりが良いんですね。
長崎で始まった物語が膨らんで、彷徨って、こういうラストに繋がって、とても面白かったです。
自分が死体を隠してるような怖い気分も味わうことになり、人間の性や業が滲む小説世界・ドラマ世界に入り込んじゃいました。
戸田恵梨香をはじめとする演技者の質も高かったし、シブい出来映えのドラマでした。
◇◆◇ 連ドラなど感想 ◇◆◇
★鍵のかかった部屋SP
★新参者・眠りの森
★相棒 season12 元日スペシャル
★64th「紅白歌合戦」その1
★64th「紅白歌合戦」その2
★64th「紅白歌合戦」前半終了
★紅白・あまちゃん第157回「おら紅白出るど」
★64th「紅白歌合戦」大島優子「卒業宣言」
★64th「紅白歌合戦」その6
★じぇじぇじぇ!あまちゃん祭り
★「LIFE! 人生に捧げるコント」
★鍵のかかった部屋SP
★新参者・眠りの森
★相棒 season12 元日スペシャル
★64th「紅白歌合戦」その1
★64th「紅白歌合戦」その2
★64th「紅白歌合戦」前半終了
★紅白・あまちゃん第157回「おら紅白出るど」
★64th「紅白歌合戦」大島優子「卒業宣言」
★64th「紅白歌合戦」その6
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★「LIFE! 人生に捧げるコント」
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