「書店員ミチルの身の上話」第7回★銀髪鬼・高倉(寺島咲)が梨をむく
- 2013.02.20 Wednesday
- 11:50
- NHKドラマ・番組
ミチル(戸田恵梨香)を待ち伏せるようにして「僕と一緒に逃げて。」と言った豊増(新井浩文)は、浜田山のミチルのマンションか、いつもの高級しゃぶしゃぶ店でじっくり話をしたいようですが、ミチルは半ば強引に竹井(高良健吾)の部屋に連れて帰りました。
まだ竹井は帰宅しておらず、豊増と二人でどこか剣呑なムード。
ミチルは、浜田山のマンションには住まずに竹井の部屋に居候しながら、ここから通勤してることなど説明したうえで、「引っ越し祝にもらったエアコンと冷蔵庫とテレビ要らなくなったの。立て替えてもらった敷金も返す。」と事務的な口調で話します。
表情の暗い豊増は「別れ話してるの?」
ミチル、あっさりと「そう。」
豊増は視線を外して「突然すぎるでしょ・・・」
ミチル「もう人目を気にしてビクビク生きていくのが嫌になったの。」
まだ視線を合わせられない豊増が「ビクビクって・・・。」
ミチル「寂しくて、心細くて、相談したくても誰も頼れる人がいない。」
やっと目を合わせた豊増が「僕がいるじゃないか。」
寂しいというミチル(戸田恵梨香)ですけど、そもそもは父・継徳(平田満)、妹・千秋(波瑠)、親友・春子(安藤サクラ)、恋人・久太郎(柄本佑)ら頼ってもいい人間が周囲に居たのに、嘘をついて豊増とのアバンチュールに走ってしまい、宝くじの当選を隠し、久太郎の死も隠すような境遇に自分で自分を追い込んだんだから仕方ない。
あと、「相談したくても誰も頼れる人がいない」ってフレーズを竹井(高良健吾)が耳にしたら、どう思うことか・・・なんかヤバいと思うな。
で、番組開始からほぼ二人芝居の戸田恵梨香と新井浩文の演技を見てるだけでも見応えがあります。
著しくイレギュラーな状態にいる登場人物を、演技っぽくなく自然に演じてるのが良い。
−◆−
別れ話にピリオドを打ちかけたとき、竹井(高良健吾)から電話が入って「今夜高倉さんを呼んだから。1人で置いておくのが危険なんだ。分かるよね、彼女のためにも僕らのためにも。」
1本の電話でヤバそうなムードが漂います。
豊増(新井浩文)が「2人きりじゃないと駄目な話なんだ」などと文句を言い始めたのですが、すぐに大きな赤い帽子を被った高倉恵利香(寺島咲)がやって来ました。
勝手なイメージだけど、昔の2時間ドラマで片平なぎさが被っていそうなツバの広い帽子です。
この帽子を脱ぐと、古書堂の店主(ゴリ押しじゃない本物の栞子)のように長い黒髪だったはずの恵利香(寺島咲)が、銀髪に変貌しています!!
久太郎(柄本佑)を殺害したことでの極度のストレスから白髪になった!!
まるで昔の『白髪鬼』を女性に置き換えたようで、恵利香(寺島咲)の心の内を想像すると怖くなります。
ミチルが部屋で豊増と口論になっていたら、恵利香(寺島咲)が引き戸を開けて「ミチルさ〜ん、梨むきましょうか? ウチからたくさん送ってきたので持ってきたんです。」とスローペースでつぶやき、手に持ったナイフをシャキッと鞘から抜きました。
ゆったりした口調と鋭いナイフのギャップが怖い〜〜。
大森南朋のナレーション< 瞬間、妻は上林久太郎の最期を思い出しました。男がミチルに乱暴な振る舞いをする。高倉恵利香がミチルを守ろうとナイフで男を襲う。そんな先走った想像にミチルは身震いしました。>
−◆−
その後も部屋で言い争いがつづき、豊増は「今、浜田山に上林君いるでしょ?」
ミチル「もう何回も言ったでしょ。私は久太郎には会ってないって。」
豊増「何で、そうやってすぐバレるような嘘つくの。」「ミチルちゃんさぁ、上林君と会って心変わりしたんでしょう。それで浜田山のマンションを引き払って、上林君と長崎に帰ろうと思ってるんでしょ。」
ミチル「勘違いにも程がある。」
久太郎(柄本佑)を巡る押し問答。
別に小生が久太郎を殺めた訳じゃないのに、彼の名前が出てくるとドキドキしちゃう。
視聴者の小生でさえドキドキするんだから、実行犯の高倉恵利香が銀髪になっちゃうのも当然であります。
−◆−
言い争う内に豊増(新井浩文)は自分の悪事を白状したようです。
大森南朋のナレーション< カード決済、キャッシング穴埋め、領収書の偽造、空出張。どこをどうたどって今の窮状に陥ったのか。ただ分かったのは、男が抜き差しならないトラブルの中にいるという事だけでした。>
暗い部屋で身体を小さく丸めてアルマジロみたいな格好になっていた豊増(新井浩文)がようやく身体を起こすと「ミチルちゃん僕と一緒に逃げて。僕、ミチルちゃんのために破滅したんだよ。」
責任転嫁かよ!!
お前、タテブー(濱田マリ)とだって不倫してたじゃないか!!
妻もマンションを売って出て行ったという豊増(新井浩文)に「いくらあればぁ、逃げずに済むの?」とミチルがサラリ・・・。
どうして、そういう発想になっちゃうかなぁ・・・。
2億円有るから、お手軽に金でケリをつけようってコトか??
部屋の暗がりに居る豊増はボソボソと「明日までに・・・とりあえず・・・500万。」
ミチル「明日までに私が用意する。だからそれで別れよう。浜田山のマンションに明日夕方4時。」と、コッキリした口調で言い切りました。
しかし、この期に及んでもまだ未練がましく豊増が「ミチルちゃん僕と一緒にさ・・・」
部屋の外で話を耳にしていたであろう銀髪・恵利香(寺島咲)が前触れもなく戸を開けて「ミチルさん、梨どうかなって思って。」「あんまり、お話、長いから。」
部屋の照明が逆光状態になっていて、銀髪・恵利香の陰になった顔が怖い!!
あの場に居たら、ビックリしてチビリそう・・・。
銀髪・恵利香はミチル(戸田恵梨香)を守る「使い魔」のような雰囲気になっておりますねぇ。
−◆−
銀髪・恵利香の「梨攻撃」で強引に話しの腰を折られた豊増(新井浩文)のまえに、ミチル(戸田恵梨香)が浜田山のマンションの鍵をチャリ〜ンと落とします。
手渡さずに、目の前に落とすってのが冷めた気持ちを表してるなぁ・・・。
部屋を出て夜道を歩いどこかに向かう豊増(新井浩文)と竹井(高良健吾)がすれ違いました。
−◆−
タテブー(濱田マリ)が心配して、豊増に電話してます。
「私、少しなら用立てる事できるけど。」
豊増「古川さんが、全部なんとかしてくれるって。」「500万円、用意してくれるって。」
豊増はミチルのことは伏せておいて、タテブーからも工面して貰えば良いのに・・・。
タテブーは驚いたようで「500万も! やっぱりあの子、宝くじ・・・」
後日、タテブーは長崎の宝くじ売り場のオバチャン(大島蓉子)にミチルの写真を見せながら「この子来ませんでした。40枚以上買ったはずなんだけど。」
オバチャンは「さあ。覚えがないね。」
タテブー(濱田マリ)ってかなり鬱陶しいわぁ・・・。
−◆−
メガネの銀行員・山本トキ子(堀杏子)から500万円受け取ったミチル(戸田恵梨香)。
「他行での運用か何か・・・ごめんなさい立ち入った事を。高額当選者には寄付の依頼とか色々あるってお聞きしますので、古川様の事が心配で・・・。」
相変わらず面倒くさい行員さんに、ミチル(戸田恵梨香)は一言も返事せずに銀行を後に・・・。
500万円も持つんだから、カバンの肩紐はたすき掛けにした方が良いぞ!!
我が町は恥ずかしながら「ひったくり」が日常茶飯だから、無防備なミチルを見てると冷や冷やしちゃう。
−◆−
約束だった午後4時に浜田山のマンションを訪れたミチル(戸田恵梨香)。
しかし豊増(新井浩文)の姿は無く「ごめん 急用できた」と書かれたメモが机上に残されていました。
5時まで待ちましたが豊増が来ないので、テーブルの上に紙袋に入った500万円を置いて竹井の部屋に戻ったミチル(戸田恵梨香)。
いくら部屋の鍵をかけていくとは言え、思いっきり500万円を置いていくあたりが、彼女の性格やね・・・大胆というか大雑把というか。
−◆−
タテブー(濱田マリ)が豊増(新井浩文)に電話しますが、全然繋がりません。
で、タテブーの電話の呼び出し音に白いバンが走って行く映像が重なり、バンはやがて山中に・・・。
うっ!!
あわわ!!
もしかして、久太郎の遺体を処理したときと・・・・・。
−◆−
翌日、再び浜田山のマンションを訪れたミチル(戸田恵梨香)。
テーブルにおいてあった500万円が無くなっていたので、ミチルは豊増が持って行ったものだと決めつけた様子で「終わった。」と天を仰ぎます。
大森南朋のナレーション< 2か月前、故郷の町から連れ出してくれた男は王子様でした。気まぐれから始まった恋は、あっけなく終わりを告げました。その後の豊増一樹の行方を、妻は知る由もありませんでした。>
大森南朋の思わせぶりな言葉からして、やっぱり豊増は・・・・・。
−◆−
銀髪・恵利香(寺島咲)が部屋でウイスキーを飲みながら「私、もう駄目です。先輩とうまくいかないかもしれません。」と、投げやりなムードを滲ませミチルに話しかけています。
恵利香「先輩は、まるで何もなかったみたいに今までどおりです。」
ミチル「じゃあ大丈夫なんじゃない?」
ミチルは大丈夫だと言うけど、あんなことがあったのに『今までどおり』ってのは尋常じゃないと思うな。
恵利香「無言の圧力をかけてくるんです。」「先輩は、あの晩のこと一切話さないけど、最初にあんな事した私が悪いって、罪を全部私に押しつけようとしてるんだと思います。」
精神的に追い込まれてる。
ミチル「竹井は、高倉さんの事心配してるよ。」「高倉さんが落ち込んでるからできるだけ一緒にいてやってほしいって。」と、とりなします。
しかし恵利香(寺島咲)は「それはぁ、お互いを監視させてるんですよ。私もミチルさんも、妙なこと考えでもしたら、竹井先輩困りますよね?」
怖い怖い・・・。
徐々に緊迫感を高める恵利香が「一番悪いのは私なんですよね。ミチルさんも本当はそう思ってますよね。」「私が浜田山のマンションを見つけて、私が果物鉢をプレゼントして、私がフライパンを振り下ろした。全部私がやった事ですぅっ!!」
確かに自分でマンションを見つけられないミチルの代わりに恵利香がマンションを探してくれて、買い物で黄色いフライパンを勧めたのも恵利香だったような記憶があるし、妙に重そうな果物鉢をプレゼントして、フライパンで久太郎を撲殺したのも恵利香だわ・・・。
全部、恵利香・・・。
自分が「疫病神」だと思い詰めてるのかぁ・・・。
−◆−
さらに恵利香は「ミチルさん、私を怖がってますよね。あんな事してしまって怖がられて当然だと思います。でも、今わたしは竹井先輩が怖い。好きなのに怖い。」
嗚咽しながら「でもね、でも一方で、見捨てられるのも怖い。ミチルさん、私もうどうしていいか分からない。どうしたらいいですか、ミチルさん教えて下さい。」
銀髪・恵利香役の寺島咲ちゃん、迫真の演技!!!
ミチルは恵利香の目を見つめながら「高倉さん、あなたちょっと疲れてるのよ。竹井と話したらきっと落ち着けるんじゃないかな?」
ミチルの言葉で少し落ち着きを取り戻し、別室で竹井と電話した様子の恵利香が「これから先輩と会ってきます。」
ミチル「よかったじゃん。」
恵利香「ミチルさん話を聞いてくれてうれしかったです。じゃあ、お休みなさい。」
口調がまたスローペースになっていて、言葉に力が無い恵利香。
なんとなく彼女の向こう側が透けて見えそうな、幽霊っぽい雰囲気・・・・。
−◆−
ウトウトしたミチルが実母(鍵本景子)と教会に行ってる夢を見ていたら、着信バイブの音で目が覚めて、電話に出ると「もしもし、ミチルちゃん、落ち着いて聞いて。高倉さんが死んだ。」と竹井の声。
ミチル「え、嘘でしょ。だって私、さっきまで。」
竹井「自殺らしい。とにかく今夜は、遅くなるから先に寝てて。」
いやいや、寝られないわ。
大森南朋のナレーション< 竹井の優秀な助手のように久太郎の後始末をしていた高倉が、むしろ積極的に加担していたかに見えた高倉が・・・それほどまでに苦しんでいたなんて。気付いてやれなかった自分を妻は責めていました。>
そして『予告編』が、これまた剣呑で想像をかき立てる・・・。
本編より怖そうな『予告編』・・・。
−◆−
というわけで、ほとんど出番のなかった高良健吾君が、実は一番ヤバい存在であることをひたすら間接的に、遠回しにジワジワと描いた『書店員ミチルの身の上話』第7話でした。
豊増とすれ違うだけの出番だったのに、あれやこれやと思い描き、小生の脳内では高良健吾君の出番が多かった。
1話完結モノではないから忍耐が必要だけど、長編小説的な魅力が滲みます。
演者の表現力も魅力的です。
◇◆◇ 連ドラなど感想 ◇◆◇
★鍵のかかった部屋SP
★新参者・眠りの森
★相棒 season12 元日スペシャル
★64th「紅白歌合戦」その1
★64th「紅白歌合戦」その2
★64th「紅白歌合戦」前半終了
★紅白・あまちゃん第157回「おら紅白出るど」
★64th「紅白歌合戦」大島優子「卒業宣言」
★64th「紅白歌合戦」その6
★じぇじぇじぇ!あまちゃん祭り
★「LIFE! 人生に捧げるコント」
★鍵のかかった部屋SP
★新参者・眠りの森
★相棒 season12 元日スペシャル
★64th「紅白歌合戦」その1
★64th「紅白歌合戦」その2
★64th「紅白歌合戦」前半終了
★紅白・あまちゃん第157回「おら紅白出るど」
★64th「紅白歌合戦」大島優子「卒業宣言」
★64th「紅白歌合戦」その6
★じぇじぇじぇ!あまちゃん祭り
★「LIFE! 人生に捧げるコント」
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