平清盛 第43回「忠と孝のはざまで」★GANTZスーツの上に赤法衣の清盛vs号泣・重盛(窪田正孝)
- 2012.11.05 Monday
- 11:41
- NHKドラマ・番組
今回は、シェークスピアと劇画を足したような演出!?
−◆−
《鹿ヶ谷の陰謀》は未遂に終わり、首謀者・西光(加藤虎ノ介)は『洛中引き回しの上、朱雀大路にて斬首』で、息子の師経と師高も流罪の上、斬首。
同じく首謀者の一人である藤原成親(吉沢悠)も首筋が寒くなっていますが、成親の義理の弟にあたる”律儀な男・重盛(窪田正孝)”が平清盛(松山ケンイチ)に助命嘆願。
清盛は「まかりならぬ。二度も裏切った成親は。死を持ってしか、あがなえぬ。」と、とりつく島もありません。
しかし重盛は引き下がらず、保元の乱の戦後処理に信西(阿部サダヲ)が死罪を復活させたのは過ちだったとし、「いにしえの人は、死罪を行えば国中で謀反が起こると言うております。」と述べるなど理詰め且つ必死の説得。
窪田正孝君、重厚な演技を心がけて頑張ってます。
で、国のため、平家のためにも斬首を回避すべきだとする重盛の説得に根負けした清盛は、「よう分かった。成親は流罪としよう。」と裁定を下しました。
清盛は、くそ真面目でピュアな重盛を面倒く思って、テキトーに裁定した感じかな・・・。
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備前国に流罪になった成親(吉沢悠)は、くそ暑いのにクーラーも入っていないボロ館に拘禁されます。
室内に蝉が飛びまくってる上に、梁に止まってミンミンミンミンやかましく鳴いてるから、あれだけで頭が変になりそう。
意識朦朧の成親(吉沢悠)が崩れるように横たわったから、熱中症かなんかだと思ったのだけど、なんとそのまま餓死!!!
崇徳院(井浦新)みたいに怨霊になる気力(?)さえ奪われたような最期。
成親には食事を与えられていなかったのです!!
尼崎の鬼畜・角田美代子が、被害者を衰弱死させたみたいな・・・。
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成親の死で凹んでいる重盛(窪田正孝)に、清盛は表情一つ変えずに「そなたの望み通り流罪にした。流罪の地でどうなろうが、儂の知ったところではない。」と・・・。
斬首の代わりに餓死させるとは、なんちゅう陰湿な主人公なんや!!
武戸井彩未(北川景子)以上に心の無いサイコパスや!!!
これまで清盛を支えてきたのは、修羅の道を突き進んでも造りたい国というものを私も見てみたいと思ったからだという重盛は「されど今もって、父上の思い描いておられる国の姿、その形が私には見えません。」と声を絞り出すようにして清盛に語りかけました。
しかし清盛は国づくりのビジョンを直接語ることはせず、中宮・徳子(二階堂ふみ)に皇子が授かるよう行う大々的な祈願にむけて重盛も働くように申しつけます。
『平家の血が流れる皇子』を希求する清盛に、重盛は失望など諸々の感情が湧き上がって涙・・・。
国家ビジョンを求める重盛に対して、孫を天皇にするという
権力志向に侵されている清盛!!!
「禿」の振る舞いを容認した頃からの清盛は『時代の変革者』ではなく『権力の亡者』になり果てて暗黒面(ダークサイド)に堕ちてしまい、北野監督の『アウトレイジ』に出演できそうな悪役になっちゃってます。
ウダウダ言って反発する重盛に「平家の棟梁なら、だまって儂の国づくりを支えよ。」と盲従を命じた松山ケンイチの悪人芝居がけっこうキマってます。
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近臣・西光(加藤虎ノ介)や成親(吉沢悠)への清盛の非道な振る舞いを知った後白河法皇(松田翔太)は、「うずきはじめておる、現(うつつ)に生ける”もののけ”の血が・・・ウハハハハハハハ、ムハハハハハハ・・・。」
後白河法皇のお得意の笑い声・・・。
小生は、コミックの登場人物でもないのに”黄金バット”みたいに笑い続けさせる過剰な演出が嫌いです。
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平安全力少女(武井咲)のもとを息子の遮那王(神木隆之介)が来訪。
出演するドラマがことごとく一桁視聴率に落ち込んじゃって、ドラマ界の『貧乏神』と化している”武井咲”が顔を出しただけで理屈抜きに低視聴率になりそうな気配が漂いはじめ、なにやら縁起が悪い。
オスカーの2大押し売りタレント武井咲&剛力彩芽は、必ず
一桁視聴率をもたらす生き霊的な存在・・・。
義経(神木隆之介)と弁慶(青木崇高)で、『オスカーの呪い』を中和できるか否か!!
(追記:呪いを中和できて、久々の10%超え!)
そんな冗談はさておき、前の場面で頼朝(岡田将生)との結婚がきまった政子役の”杏”と比較すると、発声とか基礎基本の部分で武井咲(高橋愛も)は、見劣りします。
で、岡田君のナレ<清盛の与り知らぬところで、源氏の魂は、着々と甦ろうとしていた。>
−◆−
祈願の甲斐があったのか、徳子(二階堂ふみ)が皇子を出産。
速攻で皇子を立太子させて、次の天皇としてのベースを確固とさせる清盛。
”百日(ももか)の宴”の直後、「機は熟した」と呟いた清盛が上洛。
「東宮の外祖父」となったことを一門の前で口にした上で、誰かがまた「法皇様に要らぬことを吹き込むやもしれん。」と『鹿ヶ谷の企て』のような不測の事態の再発を危惧して見せます。
そして「さようなことを防ぐため、法皇様にはこの館に起こしただいてはいかがかと考えておる。」と清盛。
ミャンマー軍事政権がアウン・サン・スー・チーさんを軟禁していたようなイメージでしょうか・・・。
時忠(森田剛)が、後白河上皇の院御所である『法住寺殿』を攻めろという意味かと清盛に確認。
清盛「速やかに兵を繰り出し、法皇様をお連れ参らせよ。」
東宮の祖父という立場に思い上がってしまい、酷く傲慢になってますねぇ。
−◆−
平家一門の面々が鎧を着用して集合。
清盛(松山ケンイチ)も、GANTZスーツの上に”赤い法衣”をまとって法皇拘束に備えています。
唯一、重盛(窪田正孝)だけは軍事色のいっさい無い白い直衣(のうし)姿で清盛のそばに着席。
中東に派兵されるアメリカ兵がスーツ&ネクタイ着用で基地に現れたようなものですから、さすがに清盛「その姿は、なんとした。」と不満と不快が混じったような口ぶりで重盛を質します。
重盛は「父上こそ、そのお姿は何事にございますか。」と、一人だけGANTZスーツで身を包んだ父を追及。
清盛は何食わぬ顔で「しばらくのあいだ、法皇様にこの館においで願おうと思ってな。」
重盛「何と情けないお言葉。一門の運も尽き果てたのでござりましょう。人は運が傾き始めると必ず悪事を思いつくものにござります。」
神をも恐れぬような権力者・平清盛に対する重盛の挑発的な言葉によって、鋭い緊張が走りました!!
折り合いが付きそうにないと悟った重盛は清盛の正面に座り直し「では、法皇様の御所は私が警固いたします。」と宣言。
顔色を変えた清盛らを尻目に、重盛は重々しい口調で「五位に叙せられてよりこちら、法皇様のご恩を受けなかったことなど一度もござりませぬ。その恩の重さをたとえれば、”千粒万粒”の宝玉よりも重く、その恩の深さをたとえれば、幾重にも染めた紅の色よりも深いでしょう。ゆえに、私は御所へ参り、幾ばくかの手勢を連れて法皇様をお守りいたします。」
なんとまぁ、ものものしいフレーズ!!
奇しくもアニメ化されて放映中の『ジョジョの奇妙な冒険』、あるいは『北斗の拳』みたいな粘度が高くて長いセリフです!!
その場から立ち去ろうとする重盛を呼び止めた清盛は、立ち上がって重盛のそばまで近づき「今一度言う。これはわしの国造りじゃ。それを阻むと言うのじゃな? 平家の棟梁である、そなたが?」
西光を蹴りまくった時みたいに感情が高ぶり始めてる??
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清盛が、押しつぶさんばかりの勢いで重盛の背筋あたりを掴んで床に座らせて上から睨みつけます。
一方、重盛の目からは急激に力が消えていき、みるみるうちに涙顔になって「悲しきかな〜〜。」
尖った表情で睨みつける清盛を面前にして「法皇様に”忠義”を尽くそうとすれば・・・山の頂よりもなお高き父上の恩を、たちまち忘れることになります。」とすすり泣きながら訴えます。
さらに声を震わせながら「痛ましきかな〜〜、父上への”不孝”から逃れんとすれば、海よりも深き慈悲を下された、法皇様への不忠となります・・・」
鼻水とかでグダグダになりながら「あ〜〜〜、忠ならんと欲すれば・・・孝ならず。孝ならんと欲すれば・・・・、忠ならず。」「進退、これ、きわまれり。」
ハムレットの「To be or not to be, that is the question」状態??
正面から日を浴び、達磨さんのような顔で重盛を見すえる清盛。
父の手を握り「かくなる上は・・・・・・、この重盛が首を召されそうらえ。さすれば、御所を攻め奉る父上のお供も出来ず、法皇様をお守りすることもできますまい。」と壮絶な言葉を吐き出した重盛は、「父上・・・」と小さく呟いたあと「あ〜〜〜〜〜〜〜」とエンドレスな号泣。
さすがの清盛も、重盛の究極の覚悟に顔面が小さく震えました。
なんとまぁ、窪田正孝君の熱い演技よ!!!
松山ケンイチの表情も凄い!!!
その場の面々も、思わず目頭を熱くしております。
岡田君のナレーション<重盛の命がけの懇願に清盛も折れざるを得なかった。だが、この重盛の一途な忠義、孝行こそが、後白河院の付け入る隙でもあった>
誰もが逆らえない清盛に重盛が自分を押し通して見せた姿がイケていたんだけど、重盛の律儀さが”あだ”となる??
とにかく、物語が面白いかどうかとかは別にして、窪田正孝君と松山ケンイチの全力投球は伝わってきました。
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頼朝(岡田将生)が政子(杏)との結婚を許して貰うために北条時政(遠藤憲一)を訪ねた場面は爽やかでした。
杏ちゃんの滑舌と発声が素晴らしいセリフを聞いてるだけで良い感じ。
藤九郎(塚本高史)が北条時政(遠藤憲一)を口説き落とした諸々のセリフも良かったし、頼朝の舅となることを決めた時政の心情が滲むエンケンさんの芝居も良かった。
逆に、病床に伏す乙前(松田聖子)を後白河法皇(松田翔太)が訪ねていって、「像法転じては 薬師の誓ひぞ頼もしき〜♪」とお見舞い用の新レパートリーを披露した一連の場面は、回りくどくて好きになれなれません。
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今回の『紀行』は徳子が出家した寺として知られる長楽寺。
井上あさひアナ『寺には徳子が安徳天皇を思い、その衣を自ら仏前にまつる幡(はた)に仕立て直したものが残されています。 徳子が皇子を出産したことによって平家の栄華は頂点を極めるのです。』
皇子が生まれたてなのに、出家後のことにふれちゃったから、安徳天皇の最期に思いが及んじゃうじゃないの。
可哀想やね・・・。
以上、重盛に「そこまで泣くか!」「どんだけ律儀やねん!」と思いつつも、作り込まれたシーンに呑まれそうになった『平清盛』第43話「忠と孝のはざまで」でした。
◇◆◇ 連ドラなど感想 ◇◆◇
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