よる☆ドラ「眠れる森の熟女」第3話〜ちょろいもんですね、人間なんて
- 2012.09.19 Wednesday
- 12:22
- NHKドラマ・番組
よる☆ドラ「眠れる森の熟女」
第3回【王子様は、二重人格】
第3回【王子様は、二重人格】
今回も、登場人物のちょっとしたセリフの端々に可笑しさがちりばめられていました。
−◆−
息子・かける(松岡広大)と千波(草刈民代)が暮らし始めた団地の一室を離婚したがってる夫・浩史(羽場裕一)が訪ねてきて、食卓で二人きりの話し合い。
しばらく前に、長く使えるよう少し良い”夫婦箸”を買ったことを持ち出した千波は「そういう小さな一つ一つが私には未来だった。・・・どうして私じゃ駄目だったのかなぁ。あなたには、私とのこれからは未来にならなかった。」と、春子(森口瑤子)との未来を選んだ浩史(羽場裕一)にを質します。
「お前が駄目だったわけじゃない・・」などと理由を語り始めた浩史でしたが、言葉に詰まり「ごめん、理屈じゃない。」
妻子持ち・40代後半の”オッサン”が中学時代の初恋の相手との人生を選んだのだから、『理屈じゃない』というのは真理ですわ。
理屈抜きの感情に突き動かされただけ。
あえて理屈をつけるとしたら、この年頃になると人生の残り時間を意識し始めるから、身勝手でも自分の思うように我が儘を貫きたかったのかな・・・。
−◆−
団地から出てきた浩史が、息子・かけるとばったり出会い、二人で少し話しをするために小さなファミレスみたいな店に行きました。
かけるは「専業主婦だった母さんが肉体労働してるんだよ、胸痛まないの?」と、淡々と父を責めます。
父・浩史「痛むよ」
かける「もう俺には会えないと思ってよ。そのくらいの覚悟できててやってんの・・」
瞬時には答えられず、どぎまぎした浩史が絞り出すように「分かった」
かける「バカじゃないの・・・だから駄目なんだよ。なに悲壮感漂わせてかっこつけてんの。そう言う時は『どんなに嫌われても会いに来るよ。離婚したってお前の父親だ』とか言うもんじゃないの。会えなくなるのは俺も同じなんだよ。自分だけ悲劇の主人公みたいな顔するなよ。胸が痛むとか簡単に言うな。痛くたって痛くないフリしろよ。自分の思い通りにしようとしてるんだからさぁ。」
中学2年生の息子に説教じみたことを言われて返す言葉も無い父・浩史は、ただ”かける”の顔を見つめるだけです。
「戻る気が無いなら、お母さんに徹底的に嫌われてよね。」と言い残し、自分の飲み物代の小銭をテーブルの上に置いて立ち去って行ったかける(松岡広大)。
なんとまぁ、思春期なのにしっかりしてる子供だこと!!
(小銭を置いていくなんて、躾が良いのかオッサン臭いのか・・・)
『痛くたって痛くないフリしろよ。』『お母さんに徹底的に嫌われてよね。』ってフレーズに痺れます。
特に、母親に自責の念を起こさせないために「徹底的に嫌われろ」と父親に迫る、大人顔負けの神経の使い方が凄い・・・。
あと、父親に痛くたって痛くないフリしろって言うくらいだから、両親の離婚による”かける君自身の心の痛み”を表に出さないようにしてるんでしょうね。
日テレ系で、”鈴木京香&山田涼介”の『理想の息子』というドラマがありましたけど、”千波(草刈民代)&かける(松岡広大)”も、なかなかのものです。
−◆−
結婚記念日に逗留予定だった宿泊客が、夫の仕事が急に入ってキャンセルになってしまったことを、リネン室で千波(草刈民代)が超ベテラン・メイドの三島さん(左時枝)に話しています。
三島さんは、そういう場合”HOTEL TAKAOKA INTERNATIONAL”では花束とシャンパンを自宅に届けるサービスをしてるのだと説明・・・。
総支配人・祐輔(瀬戸康史)が考え出したサービスなのだと三島さんは恍惚の表情で語ります。
平素から、利用客が誕生日や結婚記念日であると分かった場合にはケーキなどに得意の「名言」を書き添えたグリーティングカードを添えて贈呈する『王子サービス』!!
行き届いたサービスを発案した総支配人・祐輔に、従業員も感心しきり・・・。
ところが、後見役・杉浦さん(山本圭)から、くだんのサービスが好評だと聞かされた発案者・祐輔(瀬戸康史)は「ちょろいもんですね、人間なんて。」
出ました、二重人格〜〜〜!!
心のこもったサービスを提案した祐輔には心が無いみたいな・・・。
−◆−
婚約者・七尾麻美(朝倉あき)が来ると分かっているのに「今から本社に行ってきます」と杉浦さんに告げる祐輔。
祐輔が帰ってくるまで「お待ち頂きますか?」と杉浦さん。
「待つわけないでしょあの人が、喜んでエステにでも行くんじゃないですか。」と、すげない返事。
で、しばらくしてやって来た麻美(朝倉あき)に杉浦さんが「お待ちになりますか?」
麻美は「丁度いいからエステに行く。」
祐輔の読み通りでした。
政略結婚する婚約者同士、思いっきりドライです・・・。
総支配人のデスク上に『世界の偉人名言集』という分厚い本を見つけた麻美が「これにまた騙される人が居るのよねぇ。ちょろいもんよね、人間なんて。」
同じ発想の祐輔と麻美を間近で目にした杉浦さんは「ホントにお似合いでいらっしゃいますねぇ・・・」と独り言。
二重人格の祐輔と、外見は清楚で中身はエグイ女・麻美の関係性も可笑しいです。
『とめはねっ!鈴里高校書道部』や『てっぱん』のイメージのせいかもしれないけど、”朝倉あきちゃん”には”NHKドラマ”がバッチリ似合い、フジテレビは似合わなさそう〜な感じ・・・。
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本社で父親で会長の諒一(榎木孝明)と、七尾ビルヂングとの提携話や七尾ビルヂング会長の孫娘・麻美(朝倉あき)との政略結婚のことなどを話している祐輔(瀬戸康史)。
祐輔は無表情なまま「僕が役に立たないと思ったら遠慮せず追い出して、養子でも何でも貰ってください。血の繋がりにすがろうとは思ってませんから。」
『血の繋がりにすがろうとは思ってない』というのは、総支配人としての自負心と、諒一(榎木孝明)の後妻・玲子(横山めぐみ)の連れ子・和樹を意識した言葉ですねぇ。
そんな祐輔の言葉を聞いて「安心したよ」と父・諒一。
父子関係やら、昼メロみたいな後妻が居る粘度の高い家庭環境が祐輔(瀬戸康史)の二重人格の原因??
−◆−
仕事を終えて従業員で入り口から出てきた千波(草刈民代)と、本社から帰ってきた祐輔(瀬戸康史)が出会いました。
避けようとしてる祐輔ですが、悪気無く会話を始めちゃう千波が例の”匿名の恩人”との手紙に言及し「ホントに助かってるから、手紙。自分でも依存してるのかなって思うほど心の支えになってる。」
首をかしげる祐輔は「名言なんていっても、所詮、人の言葉じゃ無いですか。そんなものに励まされるのかなあと・・・。」
千波は「誰の言葉だろうと、それを私に伝えてくださろうとするその気持ちに励まされます。大切なその言葉を分けてくださるその気持ちに元気が出ます。私も頑張ろうと思います。」
話し終えて帰って行く千波の背中を見送りながら「くだらない・・・」と祐輔。
そんな悪態をついた祐輔ですが、無邪気なまでに手紙への感謝の気持ちを語る千波の姿を目にして、少しは心が動いたかなぁ??
それとも、やっぱり心の底から『ちょろいもんですね、人間なんて。』って思ってる??
とにかく、手紙の力に励まされている千波を「ちょろい」と評すべきなのか、「ピュア」だと考えるべきなのかは、ひとそれぞれの受け止め方や、ものの感じ方次第ですかねぇ。
−◆−
春子(森口瑤子)の部屋を訪れた浩史(羽場裕一)が、明日の離婚調停は不調に終わって離婚が成立しない見込みであることや、息子・かけるが傷ついていそうなことなどを済まなさそうに話します。
春子は優しい笑顔で「そんなに簡単に成立するわけ無いじゃん。」「ゆっくりでいいんじゃない。」
浩史は「いつもそう言ってくれるよなぁ。不安定で淋しい思いさせてんのに、責めないで許してくれる。救われるよ。」と、しみじみ・・・。
コーヒーを入れると言ってキッチンに行った春子が「そんな女、いないっつ〜の。」と独り言。
ひえ〜〜〜!!
春子の優しい言葉や佇まいに癒やされて、すっかり甘えちゃってる浩史ですが、独りよがりだったみたいな・・・・。
世の中、そんなに甘くない??
”理想のパートナー・春子”は、虚像でしかないのか??
人の良さそうな顔をしていて、いい年してるのに我が儘で子供じみたところのある浩史役には、羽場裕一さんがピッタリですねぇ。
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千波(草刈民代)が、誕生日っぽいお客さんを見つけたのだけど、誕生日だと確定はできないために、総務部・佐々木(小野了)さんは”王子プレゼント”をすべきか否か判断に困っております。
たまたまその様子を見ていた杉浦さん(山本圭)は、祐輔の判断を仰ぎに総支配人室へ・・・。
PCで仕事をしている祐輔(瀬戸康史)は画面から顔も上げずに「適当に祝っておけばいいでしょ。要は、特別扱いして貰うのが嬉しいだけなんですから。」と、ぞんざいな返事。
杉浦さん「カードの方は?」
「いつもどおり、代わりに書いておいてください。」と面倒くさげに返事した祐輔。
杉浦さんが少し身体をずらすと、後ろに千波(草刈民代)が付いて来ていました。
あちゃ〜〜、二重人格・祐輔の”裏人格”を見てしまった〜〜。
尊大な振る舞いを質す千波に、テキトーな言い訳をしていた祐輔でしたが、しまいには「しつこいなぁ。」
さらに「ビジネスですよ! 仕事なんです。上手に客を騙して喜んで金を落として貰う。何かおかしいですか。」と開き直る祐輔。
千波「心とか気持ちとか、そういうものは?」
祐輔、ケロッとした顔で「必要ですか?」
千波「わたし結構あなたの言葉に励まされてきたって言うか・・」
祐輔「励まされたなら良いじゃ無いですか、気持ちなんか無くたって。」
千波「そう言う問題ですかぁ?」
祐輔「あなたがオメデタイだけですよ。人の言葉とか気持ちとか、そういうものを簡単に信じる方がおかしいと言ってるんです。」
心の無い”裏人格”丸出しです。
人の感情に無頓着だった日向徹(小栗旬)よりも、祐輔の性格の方がいびつですねぇ。
(「日向徹@小栗旬」も「高岡祐輔@瀬戸康史」も、実母と離れて育って、ユニークな大人に育っちゃった?)
祐輔は、あんな家庭環境で育っているから、傷つきたくなくて心を消し去ったのじゃ無いかなぁ・・・。
−◆−
どうやら、杉浦(山本圭)さんは計算尽くで千波と「裏・祐輔」を遭遇させた様子。
”坊ちゃん”の性格を修復してあげたいからか?
そして、王子・祐輔の裏側を見てしまった千波は、もう人の心を簡単には信じないのだと匿名の恩人との手紙に手紙を出し、またホテルでの日々が続くのであります・・・。
てな感じで、今回も祐輔(瀬戸康史)麻美(朝倉あき)の裏表のある嫌な性格や、かける君(松岡広大)の中2とは思えない大人びた言葉や、春子(森口瑤子)がポロッと漏らした本音など、見所が一杯でした。
ちょっとしたセリフに意外なインパクトがあったりして、シブ〜く面白いです。
再放送でもなかり反響があったNHKドラマ『はつ恋』やら、BS時代劇『薄桜記』やら、『眠れる森の熟女』などは脚本が良いですね。
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