BS時代劇「薄桜記」第9話〜典膳(山本耕史)「千春。もう離さぬぞ」
- 2012.09.07 Friday
- 22:56
- NHKドラマ・番組
”長塚京三”が演じる吉良上野介って、本当にそこに居そうな”リアル”があって素晴らしいです。
茶室での上野介の佇まいだとか、庭で妻・富子(萬田久子)と語らう様だとかが小粋で、今まで抱いていた悪役イメージを払拭しますね。
それに、『篤姫』『カレ、夫、男友達』や『薄桜記』やら、近年の”長塚京三”の味わいのある演技が大好きです。
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御簾の向こう側でリラックスしてる吉良上野介(長塚京三)。
こちら側では吉良義周 (市川知宏)、小林平八郎 (矢島健一)左右田孫兵衛 (山本龍二)斉藤宮内 (酒向芳)が本所の吉良邸の塀を高くして全周に渡って逆さ釘を施したり、隠し部屋や床下から回向院に繋がる秘密通路作ったり、侍長屋を建てて上杉勢30名を駐留させるなど、屋敷の要塞化と警固計画を話し合っております。
客分として吉良邸に住み込むことになった丹下典膳(山本耕史)もリスク・コンサルタント的な存在として同席・・・。
無風流だとして大層な警固には乗り気ではない上野介は、一言も口を挟まず脇息 (殿様の肘掛)にもたれかかったままです。
平八郎が「どうじゃ丹下殿、遠慮は要らぬそちの存念を申すがいい。」と意見を求めます。
典膳「畏れながら・・・吉良家の御当主はどなた様にございましょう?」
家督を継いだ義周が自分だと答えまと、典膳は「義周様をお守りするのが第一義にござりましょう。」
孫兵衛らは浅野家の狙いは上野介だと主張しますが、典膳はあくまでも冷静に、当主・義周が討たれた場合は「主君を失いお家断絶」になるが、ご隠居様=上野介が討たれても吉良家は安泰だと理屈立てて説明。
上野介は怒り出すことはなく一瞬だけ目を輝かせ、そのあと黙して眠ってるような様・・・・。
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上野介が典膳を茶室に招き、先ほどの会議での発言に「さすがじゃの。」「よう言うてくれた。お陰で気が晴れた。さっぱりした。」と感想を述べました。
なかなか度量のある人物ですね。
「どうせ死ぬるからには値打ちのある死に方をしたい」という上野介は、世間が仇討ちを見たいが為に殺されるのはいやだと考えていたらしいのですが、典膳の先の発言を聞いて、吉良家存続のためなら死んでもいいと考え直した旨を語りかけます。
そして討ち入りがあった場合は「儂には一切かまうな。義周だけを守れ。」と上野介。
話題を変えた上野介が「そちはどんな死に方をしたい。」
典膳「考えてはおりますが皆目見当がつきません。」
上野介は「はっははは、修行が足りんのう。」と、いたずらっぽく微笑みを浮かべます。
なかなかチャーミングな登場人物です。
で、ぼちぼち登場人物たちの死生観が表に出始めましたねぇ・・・。
討ち入りに向かって時計の針が進んでいます。
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また薄桜の季節がやってきて典膳の母・ぬひさんの命日。
今年も千春(柴本幸)が先に来て墓に参ってくれています。
その後、谷中七面社に移動した二人・・・。
千春が「そろそろ、よりを戻してはどうかと仰せになりました。」と上野介の妻・富子(萬田久子)の言葉を典膳に知らせます。
典膳「よりを戻す?」
典膳の顔を真っ直ぐ見据えて「千春は今もあなた様のお世話がしとう存知ます。」
千春さん、けっこうオフェンシブ。
典膳「ちょっと待て」
少し押され気味??
「迷惑でしょうか?」
典膳「そうではないが、儂は吉良家の用心棒じゃ。いつ死ぬか分からん。死ねばまたお前を不幸にする。」
「あなたが死ねば、千春も死にます。」
千春(柴本幸)の決意のこもった低い声が素敵です。
「たわ言を申すな。儂には為せねばならぬコトがある。一つは吉良家を仇討ちから守り抜くこと。もうひとつは堀部安兵衛を死なせないことだ。」
忠義と友情を貫こうとする典膳さんカッコイイ!!
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さてサブタイトルにある文鳥のエピソード。
お付きの勘蔵 (内野謙太)が、桜の木から落ちた文鳥の雛を拾ってきた典膳(山本耕史)と千春(柴本幸)に見せながら「縁起がよろしゅうございます。」
「文鳥は”つがい”の鳥にございます。」
なるほどぉ、縁結びの御利益があるのかぁ・・・。
千春(柴本幸)さんは、勘蔵の言葉と可愛い雛で顔を輝かせて典膳に視線を送ります。
で、千春の気持ちが通じたようで、吉良邸で文鳥を飼うことにした典膳。
鳴き声に気づいた上野介(長塚京三)がやってきて「風流じゃ」
上野介がカゴをのぞき込み「無事に育てよ。」と文鳥に声をかけます。
討ち入りとなれば文鳥も無事では居られないかもしれませんから、上野介は文鳥が無事で居られるよう何事も起こらないことを願ってるんでしょうかねぇ。
さらには「剣の達人がの・・うん。」と、剣豪・典膳が可愛らしい文鳥を飼うことを、からかうような素振りの上野介。
お茶目です。
−◆−
勘蔵「奥様がお越しです」
典膳「?」
勘蔵「両方の・・・」
典膳を慕ってやまない勘蔵も可愛らしい人物ですね。
両方の奥様とは、上野介の妻・富子(萬田久子)と千春(柴本幸)であります。
典膳と千春を前にして、富子が上野介に復縁話。
上野介「脱げた草履は履き直せばよい。」「典膳さえ異を唱えなければ儂が異を唱えるはずが無い。」
富子「どうじゃ典膳。」
典膳「ははぁ」
上野介は、諸般の事情に目鼻がつくまで半年は見込まれるので、年が明けてから家臣として召し抱え、その上で祝言をあげてはどうかとしますが、富子は「祝言は無用にございます。」
上野介「あっ、そうか、ははは二番煎じか」
典膳「ほほほほ」
上野介「どうじゃ典膳、帳尻を合わせてみるか。」
典膳「はっ」と承諾。
『脱げた草履』『二番煎じ』『帳尻』など、会話の端々に現れる単語が洒落ています。
あざとさを感じさせずに小粋な会話をさせる脚本は、最近のドラマではなかなか目にできません。
それと「年明け」というフレーズが二度ばかり出てきたのですが、『忠臣蔵』の時期を知ってるだけに、切ない気持ちになります。
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典膳の部屋に挨拶に来た千春さんは、早々に芝の下屋敷から本所の吉良邸に移ってくることを伝えます。
文鳥のカゴを眺める千春さんに「千春。もう離さぬぞ。」と典膳。
文鳥の御利益がありましたねぇ。
手を取り合い、見つめ合う二人を見てるとウルウルきます。
最近のラブストーリーで心動かされたのは、くしくもNHK制作の『はつ恋』と『薄桜記』
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吉良邸の増改築工事の一部を請け負っている白竿屋長兵衛(高嶋政伸)が、堀内道場周辺で町人に変装した堀部安兵衛(高橋和也)が目撃された旨を典膳に伝えました・・・。
いよいよ、終局の足音・・・。
という感じで、今回も《薄桜記ワールド》にどっぷりと浸かってしまいました。
時代劇のツボ、ラブストーリーのツボをはずすことなく、豊かな日本語で作り上げられており、とっても素敵です。
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