『坂の上の雲』第13回(最終回)「日本海海戦」〜日本勝利でナショナリズムがムクムク

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    『坂の上の雲』第13回
    「日本海海戦」


    前回の『奉天会戦』の勝利もそうであったけど、今回の『日本海海戦』の勝利でもやはり、大国露西亜相手の日本軍の知力による「勝ち戦」を見て、野球観戦で贔屓のチームが勝った時のような気持ちになってしまいます。

    そういう単純なプチ・ナショナリズムを、理屈や理性では諌(いさ)めながらも、感情が単純に反応してしまいます。

    だって、今シーズンの『坂の上の雲』は、戦争シーンに時間を割き、圧倒的な映像を見せるんだもの・・・。

    今回も、冒頭30分以上が大海戦で、セリフも無く延々と日本軍の砲弾がバルチック艦隊へと吸い込まれていき、露西亜の戦艦が炎上、撃沈なんだもの・・・。


    実写映画版『宇宙戦艦ヤマト』と比較するのは、これまた愚かで滑稽な話でありますが、”戦艦三笠”が波濤を砕きながら進む姿や、ロシア艦隊旗艦に向けて大砲を放ち、轟音とともに黒煙が舞う映像は、何故か非現実の”波動砲”よりも迫力があります。


    NHKが日露戦争を凄まじい間でのクオリティで描いて、死屍累々、死体を越えてなお白兵戦を継続した凄惨な”203高地”を見てもなお、小生のようなアホ親爺は、司馬遼太郎が『坂の上の雲』に描き込んだ本当の思いなどは追究・理解などできず、”軍国中年”になりかけてしまうという有様です。

    だから、NHKによる『坂の上の雲』の描き方は、小生に向けては失敗作なんだと思います。

    日本軍の勝利を喜ぶ小生のようなオメデタイ視聴者が一人でもいた時点で、NHKは”大失敗”なんじゃないかなぁ。

    戦闘シーンが目立ちすぎて、大切な部分に気付かないまま、歴史に学ぶことのないまま、「凄い映像だったなぁ」なんて薄っぺらい感想が先に立っってしまったのではねぇ・・・。


    ただし、小さな国・日本が「白人による国際社会」に対峙し大国に戦勝した物語は、ナショナリズムとして賛美するのではなく、野茂イチローが「大男たちが闊歩するメジャーリーグ」に挑戦し成功したことになぞらえると、なんとなく、そんな感じかなぁ、と得心できました。
    −◆−

    母・貞(竹下景子)が亡くなった後、帰宅した真之(本木雅弘)が遺体と対面。

    少しは世のために役に立ったのか教えてほしいと母の遺体に語りかける”白い軍服姿の本木雅弘”を見て、阿呆な小生は「おくりびとや〜」などと、またもや軽薄な感想が頭をよぎる。

    小生には『坂の上の雲』という大作は高尚に過ぎて、上っ面ばかりに目がいく始末・・・。
    トホホ中年であります。
    −◆−

    真之(本木雅弘)が起草した『連合艦隊解散之辞』を東郷(渡哲也)が読み上げます。

    「百発百中の一砲能く百発一中の敵砲百門に対抗し得るを覚らば、我等軍人は主として武力を形而上に求めざるべからず。」

    「事有れば武力を発揮し、事無ければ之を修養し、終始一貫その本分を尽さんのみ。」

    「神明は唯平素の鍛錬に力(つと)め戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足し治平に安んずる者より直に之をうばう。古人曰く、勝って兜の緒を締めよ、と。」


    練りに練られたであろう『連合艦隊解散之辞』という文章の美しさと、これを読み上げる渡哲也の雰囲気が相まって、深い理解なしに”有難味”を感る次第です・・・。

    学力が高いわけではない小生には、直観的に理解できるのは『勝って兜の緒を締めよ』くらい・・・。

    『武力を形而上に求めざるべからず』『戦はずして既に勝てる者』という部分は、たとえば北朝鮮のような軍事優先の”先軍政治”を諌める意味合いだと小生は解釈・・・。


    例えが軽薄ではあるけど、野球で言えば、村田内野手、杉内投手、ホールトン投手を下品なまでに掻き集め、巨大戦力で勝利をもぎ取ろうとするやり方こそが『武力を形而上に求める』ことなんだと思うわ。
    (我が巨人軍は、また堕落してしまった。)

    日露戦争を「優れた計画性で際どい勝利を拾い続けた」と渡辺謙さんのナレーションで分析していたけど、我が巨人軍は、「育成制度の充実」「二軍の試合数増加」などの『優れた計画性』を放棄して、ローズ、ペタジーニ、清原、江藤(広島)、小久保ら超弩級の大砲を揃えた”戦艦大和”型野球の時代に後戻りする。

    あらら、巨人ファンとして大型補強に怒り心頭なので、ドラマから脱線しちゃった・・・。
    −◆−

    あまりに多くの死に接し、日本人もロシア人も等しく悼む真之・・・。
    眠れない真之・・・。
    海軍を辞めるという真之・・・。

    そして、根岸の子規庵のあたりをさまよい、子規の墓前を訪れる真之。

    本当は、この部分の真之の心の動きに対して、マトモな感想を抱かんとイケないんだろうなぁ・・。

    なのに、子規庵にいる律(菅野美穂)を見て、「『蜜の味』みたいには顔が怖くないなぁ・・」なんてアホな感想・・・。


    無理して真面目なことを考えますと、総じて秋山真之には、勉学に励んだ若き日や、子規との付き合いがあったころの日々や、米西戦争を観戦武官として視察した体験などなど、濃厚な人生の積み重ねがあって、それが『連合艦隊解散之辞』の文章力に表れる教養や見識、奥行きのある人間味に繋がったのかなぁ・・・などと思うのであります。

    シンプルに勉強と体験は大切だと思います。
    −◆−

    ふるさとの海に船を浮かべ釣りに興じる秋山兄弟。
    貧乏で、釣りなどできなかったと回顧する真之は、兄の好古(阿部寛)から、しみじみと「お前はよくやった。」という言葉をかけられた・・・。

    母の亡骸に「世のために役に立てたか」と問いかけたことに、好古が回答を与えた気がしました。


    小生も、出来ることなら誰かから「お前はよくやった。」と言われてから三途の川を渡りたいなぁ・・・。
    −◆−

    好古の臨終場面。
    短いシーンの為に、老いを表す阿部寛への凄い特殊メイク。

    首の”たるみ”や”しわ”とか、凄いクオリティ。


    結局、このドラマは、「クオリティが凄かった」というのが結論!?


    「坂の上の白い雲を目指す」なんて言葉が、今の時代に教訓を与えるのかもしれないけど、小生は逆に虚しく聞こえました。

    白い雲以前に、上り坂が見えないんだもの・・・。


    これほど手間暇と金をかけて、最終回の視聴率は11.4%。

    あれほど残念な内容だった『江〜姫たちの戦国〜』の最終回でさえ19・1%だったのに、『坂の上の雲』は”バルチック艦隊”なみの敗戦だったのかなぁ・・・。
    (何を持って”ドラマの勝利”とすべきなのかなのかは分かりませんけど)




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      まさに、NHKならではの圧巻的・スケールと贅沢キャスティング、3年という歳月をかけての、類をみない作品。 個人的には「ドラマでみる教科書だなぁ… 」と感じ(明治の大きな流れや二百三高地の詳細なぞ、初めて知った)」、ひたすら、「へ〜っ」「ほ〜〜っ」と感
      • のほほん便り
      • 2012/01/06 9:41 AM
      「坂の上の雲」第3部最終話バルチック艦隊との戦闘が始まった。三笠の東郷は直前でターンを指示し斜め回頭したのち三笠は反撃に転じ旗艦スワロフ目掛けて砲撃し、その多くが命中 ...
      • オールマイティにコメンテート
      • 2011/12/27 6:03 AM
      坂の上の雲 第3部 ブルーレイBOX [Blu-ray] NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 ブルーレイBOX [Blu-ray] NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第1部 ブルーレイ BOX [Blu-ray] 坂の上の雲...
      • 青いblog
      • 2011/12/27 12:33 AM
      (・_・)坂の上の雲とは何なのか?
      • 義風捫虱堂
      • 2011/12/26 7:55 PM
       ついに決戦のときは来ました。東郷司令長官の指揮でターン戦法を開始した三笠と艦隊に、ロシア軍の砲弾が降りそそぎます。しかし、この10分間に耐えたのち、敵艦隊の進路を完全におさえた連合艦隊は一斉に砲撃を開始。強力な下瀬火薬を装填した日本海軍の砲弾
      • ふるゆきホビー館
      • 2011/12/26 6:44 PM
      物語に、幕が下りた… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201112250003/ 坂の上の雲 第3部 ブルーレイBOX [Blu-ray] 司馬遼太郎 ポニーキャニオン 2012-03-21 売り上げランキング : 401 Am
      • 日々“是”精進! ver.A
      • 2011/12/26 12:48 PM
      真之(本木雅弘)立案の「七段構えの戦策」により、連合艦隊はバルチック艦隊に壊滅的打撃を与え、 歴史的勝利を収める。しかし日本の国力は限界にきていた。 アメリカを仲介にロシアと講和を結ぶが、賠償...
      • ドラマ@見取り八段・実0段
      • 2011/12/26 11:52 AM
      坂の上の雲ですが、東郷平八郎(渡哲也)が敵前で船を回転させるとういう奇策でロシア軍は静止目標を撃っているようになります。しかし、その10分の間に仕留めることはできず、今度は日本の反撃となりますが、日本海海戦も迫力あったと思います。秋山真之(本木雅弘)は
      • 一言居士!スペードのAの放埓手記
      • 2011/12/26 11:32 AM

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