福山雅治『龍馬伝』第12回★吉田東洋憎し 武市ダークサイドへ堕ちる
- 2010.03.22 Monday
- 10:21
- NHKドラマ・番組
鳩山邦夫氏が、薩長同盟を引き合いに与謝野氏と舛添氏の接着剤になるとして、自らを”坂本龍馬”になぞらえるという、身の程知らずも甚だしい茶番劇がありましたけど、そういう自称・龍馬は放っておいて、今週も『龍馬伝』に集中、集中・・・・。
【 要潤登場 】
武市の門弟たちに傅かれた龍馬(福山雅治)は、血判を押して土佐勤王党入り。
その勢力は200名をこし、一大勢力に・・・。
龍馬と話をする収二郎(宮迫博之)や以蔵(佐藤健)は、上士も、一目を置かざるを得なくなり、道ですれ違う際に、普通にすれ違っても平気になったと機嫌。
そこに沢村惣之丞(要潤)が現れる。
てっきり万里香(杏)を連れてヌーヨーカに転勤したと思っていたら、タイムスリップして土佐にやってきた要潤。
遠慮を知らない惣之丞は「おまんは、他の者とは違う匂いがするのう」「おまんは、どっか冷めちゅう」「本当に武市半平太の考えに、同意しちゅうがか・・・」と、ズケズケ龍馬の心の中に踏み込んでくる。
さらに、「儂は、武市にはガッカリじゃ。」として、尊皇攘夷をぶち上げながら行動を起こさない武市を敬称略で批判する惣之丞。
これに、収二郎と以蔵は猛りたつ。
小沢批判の生方氏を即日解任の民主党だったら、武市批判の惣之丞もクビやねぇ。
あの時代だったら、文字通りクビが切られるかもしれません。
しかし、土佐勤王党は意外と自由に議論出来るようで惣之丞は発言をエスカレートさせ「長州を見いや〜〜。久坂が”要”となって、今にも攘夷を決行しようとしちゅう」と・・・。
要潤が”要”と言っているけど、そんなの関係ない。
龍馬「久坂?」
惣之丞「久坂玄瑞、吉田松陰の一番弟子じゃ」
この会話で、龍馬は久坂玄瑞に興味を持つことに・・・。
【 長州へ行かせて 】
武市が攘夷を訴える書状を藩に送る続けるが、城からは梨のつぶて。
吉田東洋(田中泯)は、黒船の絵を眺め、なにやら考えてる。
一方の武市は、攘夷の訴えを握りつぶしているのは吉田東洋だと、苦々しく思ってる。
龍馬が「決めつけてはいかん。ケンカの元ぜよ」と熱くなりかけている武市をクールダウンさせる。
そんな龍馬に「土佐勤王党に入ったのは、儂を止めるためじゃろ」と、意外と冷静な言葉を口にする武市。
心中を言い当てられて、目を泳がせて決まり悪そうな龍馬。
さらに武市は「儂が、唯一心を許せる友じゃ、そばにおってくれるだけでええ」と言いながらも「自分の国を異国から守るのは当たり前ぜよ」と、龍馬に攘夷思想への理解を求める。
この機を捉えて龍馬は、久坂玄瑞に会って攘夷の本質を知りたいから、長州へ行かせて欲しいと武市に願い出る。
武知は「やっとその気になったがか。儂が紹介状を書いちゃるき、長州行ってき」と嬉しそう。
心底、攘夷に目覚めたわけでは無さそうな龍馬が、さりげなく武知の主張から身を逸らして、長州へ行きたいという自分の希望を叶える龍馬のコミニュケーション能力はさすがであります。
【 弥太郎、肥溜め愛 】
弥太郎(香川照之)と喜勢(マイコ)が祝言。
喜勢が、肥溜めに落ちた弥太郎を助けたことが縁だそうです。
この不名誉な出会いについても弥太郎はポジティブで「肥溜めに落ちても泰然とししゅう儂の男らしさ」に喜勢が惚れたのだと言い放っています。
この結婚も、吉田東洋から”郷廻り”という下級役人に取り立てられたお陰・・・。
肥溜めのエピソードは笑い話ではありますが、肥溜めのよう”地下浪人”という身分・階級から、”郷廻り”に這い上がり、さらには龍馬に与えられようとしている”小姓組”という身分まで手に入れようとする、弥太郎の上昇志向や執念を『肥溜め』というキーワードで際だたせる狙いがあるように感じました。
余談ですが、小生が子供の頃には都市部である我が町にも、何とも言えぬ匂いを漂わせる肥溜め=ドツボがあって、ハマったヤツもいたような記憶が・・・。
若い人の多くは、「ドツボにハマる」という言葉の匂いまではリアルには知らずに使ってるんだろうなぁ・・・・。
【 久坂、エキセントリック 】
1862年1月。長州の萩に到着した龍馬は、久坂玄瑞(やべきょうすけ)の屋敷を訪れた。
「百年一瞬」「飛耳長目(ひじちょうもく)」など、吉田松陰の教えが書かれた紙が、ベタベタ張られた部屋で龍馬は久坂と会見。
この張り紙を見ただけで、久坂のエキセントリックな雰囲気が醸し出されてる・・・。
『身は例え 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂』という松陰の辞世の句に話題が及ぶと、久坂は大泣きしながら「松陰がおられんかったら、今のボクはありません」と・・・。
なにしろ、生瀬勝久の吉田松陰が師匠だから、弟子もいかにも生瀬勝久の流れを引く感じで、ユニークなキャラです。
龍馬は、年下で、ちょっぴり変な久坂にドン引きすることもなく、攘夷について「教えてつかぁさい。お願いしますき!」と必死に知識を吸収しようとしてる。
なんの予断も持たず、素直に知識を吸収したいとする龍馬の姿勢はマネできません。
久坂も「なんて素直なお人じゃ」と感心し、「私で良ければ、何でもお答えしましょう」と快諾。
【 脱藩です! 】
龍馬は「日本は本当に異国に侵略されるがですか?」「儂にはどうも納得がいかんがです」「アメリカは、日本と交易を始めただけじゃ。それが、どうして侵略言うことになるがでしょうか?」と久坂に尋ねる。
知らないことでも知っているフリをしたい小生は、何のてらいもなく疑問を投げかける龍馬は凄いと思う。
「良い問いです!」と切り出した久坂は、アメリカが武力侵攻してきたわけではなく、不公平な約定に決められたアメリカの金貨5枚と日本の小判1枚を交換する為替レートがインチキで、「本当は金貨15枚の価値があるんです」と解説。
こうして日本の金がアメリカに吸い取られていき、「日本中のモノの値段が跳ね上がり、人々の暮らしはどんどん苦しゅうなって行っとるんです」と危機的インフレに言及。
小生が変わり者だと決めつけた久坂ですが、なかなかの経済通で理論派でした。
「日本が素寒貧になる」と、さすがの龍馬がおろおろとビビってる。
久坂は強い口調で「じゃから攘夷なんです」と龍馬に返す。
そして「一君萬民」という張り紙を指して、「日本をこんな有様にした幕府などもはや無用のもの。まして藩など・・・・。」「日本を守りたいなら脱藩しても立ち上がるべきじゃ」と凄い剣幕で語る。語る。
「藩を飛び出すんです。藩を捨てるんです」
久坂はタブロイドサイズの紙に筆をサラサラと滑らせ”脱藩”と太い文字を書き「脱藩です!」と叫ぶ。
ちなみに志村ケンは「脱糞だぁ」と似ていなくもないけど、そんなの関係ない。
「あ〜〜〜日本はもう、待ったなしなんですよ〜〜〜」とまた大泣きし始める久坂は、やっぱりエキセントリック。
一歩間違えれば、江頭2:50に近いモノがあります。
【 加尾のスパイ活動に期待!? 】
以蔵が「儂らはいつまで待てば・・・」と具体的な行動を起こしたくてウズウズしてる。惣之丞らも、わ〜わ〜騒いでる。
武市は「静まれ、儂らだけで決起してもどうにもならんぜよ」と大殿様・山内容堂以下、土佐藩が組織的に攘夷へと舵を切らないと駄目だと考えている。
吉田東洋に左遷された柴田備後は、攘夷運動で吉田を失脚させようと武市のケツを叩く。
武市は、京都にスパイとして送り込んだ加尾(広末涼子)に「龍馬が攘夷に目覚め、加尾のスパイ活動に期待している」旨を書いた文を送る。
あちゃ〜〜〜。
加尾の女心、恋心を攘夷に利用するとは、武市の心が暗黒面へと落ちかけている。
ヨーダやオビ・ワンでも、もはや武市を止められないのかも・・・。
【 後藤象二郎も・・・ 】
後藤象二郎(青木崇高)が、攘夷を訴える武市の書状を吉田東洋に渡そうとするが、東洋は、いちいち持ってくるなと連れない態度。
「土佐勤王党など、いずれは潰れる。坂本が出てこん限りなぁ」と言う吉田東洋に、象二郎は、龍馬が”小姓組”への抜擢を袖にして武市の仲間になったことを指摘。
しかし吉田東洋は「坂本は、武市の下に納まるような男ではないぜよ」「いつか儂の腹心にしちゃるき」と・・・。
こんなコト聞かされたら、身内でもあり、今現在腹心である象二郎は、気ぃ悪いわなぁ。
龍馬に嫉妬するよなぁ。
で、その場から立ち去る象二郎は、武市の書状を床にたたきつける。
ああ、ここにも一人、暗黒面へと落ちかけている男が・・・。
【 武市、足蹴にされる 】
収二郎もいよいよ我慢できなくなり、「何でもええ、コトを起こしてください」と武市に迫る。
そして、武市は土佐勤王党の面々と大挙して吉田東洋も元に出向く。
土下座しながら、「帝も、山内容堂も、攘夷を考えているに違いないのに、なぜ開国策を進めるのか」と必死で吉田東洋に訴える武市。
「武市ぃぃ!!」と東洋の怒声が響き、「帝のお考えが、どうしてお主に分かる」「帝が異国と戦をせよとお命じになったとは聞いたことがないぞ」と・・・。
天皇陛下と習中国副主席の特例会見について、小沢氏が「天皇陛下にお伺いすれば当然のこととしてやってくださることだと思う」と語ったことを思い出しちゃった。
勝手に天皇陛下の心の中を忖度しちゃった小沢氏と、武市の思考パターンはほぼ同じ。
現代に吉田東洋がいたら「小沢!!!」と、どやしつけたに違いない。
さらに家康から領地を与えられた恩義を忘れて、山内容堂公が幕府にたてつくはずもないと吉田東洋。
議論だけで済めばヨカッタのだけど、上士たちは、ここぞとばかりに土下座している武市を足蹴にしたり、踏みつけたり・・・・。
足蹴にされたコトへの怒りや無力感、踏みつけられて地べたに這いつくばる姿を門弟に見られたことでの屈辱感などが武市を暗黒面へと誘います。
【 武市の分身、現る 】
ボロボロになった武市が屋敷で横になってる。
「グフゥワ〜〜、ハ〜〜〜」など、文字に書き起こせないようなうめき声を上げてる。
キリスト教国なら悪魔払いするほどの呻き方。
呻く武市に悪魔の囁くが聞こえてくる。「このままで終わるがか」「武市半平太と吉田東洋は水と油じゃ。奴は未来永劫、おまんの敵ぜよ。」
武市に語りかける男は、武市の『イド(id)』が造り上げた武市の分身=ドッペルゲンガー!?
「ここで終わったら攘夷の火は消えるぞ。土佐の将来も日本の将来も、そして・・・おまんもお終いぜよ。柴田様に見限られ、加尾に恨まれ、収二郎や以蔵たちからも見下されるがじゃ」
武市の分身の言葉は、武市自身が恐れていることばかり。
信奉する攘夷運動の衰滅、柴田を通じて吉田を失脚させる企てが徒労に終わること、加尾を利用しているコトへの後ろめたさ、そして門弟から信頼を失うこと。
どれもが、今の武市のアイデンティティを失うことに通じる。
自分が抱く恐れは、自分が一番良く知っているから、武市の分身はいちいちツボを突いてきます。
上士に心の中まで足蹴にされた武市は、分身にも痛いところを突かれ、「□◆※#◇☆〜〜〜」と嗚咽。
武市に「泣くな武市。儂に考えがある」「儂はおまんの味方ぜよ」と分身が宥めます。
武市は泣きやみ、なにやら、うっとりしたような微笑みさえ浮かんでいます。
武市、ドッペルゲンガーに完落ちです。
暗黒面に堕ちちゃいました。
【 Wの暗殺指令 】
弥太郎のもとを、後藤象二郎が訪れます。
弥太郎は、”小姓組”への登用の知らせを持ってきたのだと勘違いして平伏して「ありがとうございます。岩崎弥太郎、命を賭けて・・・」と
顔に闇が貼り付いたような後藤象二郎は「おまんの命はいらんぜよ。欲しいがは、坂本の命やき」
時同じくして、龍馬は武市の屋敷を見舞い「吉田様に足蹴にされたというのは、ほんまですか」と心配げ・・・。
ケガで横になっていたはずの武市は、すでに座っており「こんなええ考えを、どういて、今まで思いつかんかったが」と穏やかな口調で語り始める。
そして「龍馬、東洋を斬ってくれや」と・・・・

弥太郎に場面が移り「坂本を殺せ」と象二郎
また武市の屋敷に戻って・・・・
「何を言うようがです」と泡を食ったような龍馬
武市は、「吉田東洋を斬れ〜〜〜〜龍馬ぁ〜〜〜」と錯乱。
武市は、もはや暗黒面に支配され、あっちの世界に行ってしもてます。
またまた、場面は弥太郎のところへ・・・。
「坂本を殺すがじゃ〜〜※♯×★△◇」と、龍馬への嫉妬に正気をを失う後藤象二郎。
警察官から職務質問を受けたら、”薬物使用”を疑われそうな象二郎。
彼も、暗黒面に・・・・。
これが、後々の後藤象二郎の政治姿勢・思想の変化、どう結びついていくのか??
それにしても、怒り、屈辱感、嫉妬、妬み、などなど、人間のネガティブな感情は怖いです。
小生も、<もてはやされ日の目を浴びている人>、<成功してスポットライトを浴びている人>への羨望が、嫉妬や妬みに変わり、心が歪みそうになります。
成功者の傍らで、自分だけ居場所がないような気分になります。
”度量”や”懐の深さ”を持って切り抜けないと、暗黒面に堕ちちゃうか、即自爆するか・・・。
で、以前にも幻から「何を迷いゆう」「そんなことで、おまんは、おまんが望んだような男になれるのか・・・」と話しかけられた武市。
あれほど攘夷に傾倒しながら、なかなかコトを起こさず、存外穏健に運動を拡大しようとしていた武市は、悪く言えば優柔不断で、腰が定まらない。良く言えば、思慮深いのかな。
その武市を、武市自身の分身に腹を決めさせる演出は巧妙でした。
と言うわけで、坂本の長州旅や、Wの暗殺指令と盛りだくさんでした。
自称・龍馬の政治家<新党ひとり>のコトなんか、すっかり忘れて楽しめました。
さて、龍馬が1867年に暗殺されるまで、残り約5年です。
急げ、龍馬!!!
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